“究極”の防御のために胴体に板状・トゲ状の突起や鎧を進化させた装盾類(剣竜類・鎧竜類)。そのような植物食恐竜たちに対抗するなかで、身体を大型化したり歯や爪を進化させたりしたティラノサウルス類やメガラプトル類などの肉食恐竜。本展では、「攻・守」をキーワードに、両者を対比しながら恐竜たちの進化を読み解きます。(公式サイトより)
科博が「恐竜博」を開催するのは3年ぶりだそうですよ!嘘だ信じられない!と思ったのですが本当のようです。あれからもうそんなに経ったなんて…。(その時の感想はこちら↓)
ズール
恐竜博2023の主役はメインビジュアルにもドーンと載っているアンキロサウルス科の鎧竜「ズール・クルリヴァスタトル」です。
本当に失礼極まりない話なのですが、この展覧会の初報(かなり前の話)を見た時、鎧竜か…私は好きだけどインパクトがあまり大きくないなぁ…それほどワクワクする感じではないかも。などと思っていました。が、まったく一切そんなことはなかったとここに書き記しておきます!むしろなんでそんなことを考えたのかと自問自答しています。
攻撃よりも守りに特化した特長を持つ鎧竜は、強くてかっこいいイメージが強いティラノサウルスなどと比べるとそれほど大きくなく(と言うより背が高くない)、展覧会の会場に展示される時もインパクトという点であまり大きくないかもしれません。
しかし、ここでは確かにズールが主役でした。会場には2頭のティラノサウルスもいるのですが(あとで写真を載せますがこの2頭の展示も非常に熱い)、主役は確実にズールだと感じました。
1個体で頭骨から尾の棍棒まで発見されたのはアンキロサウルス類で初めて。その完全度、保存状態の良さから、鎧竜の進化を解明する大きな手がかりのひとつとなる恐竜です。(公式サイトより)
上の写真がそれなのですが、目の前で見ても信じられないくらいとんでもない代物でした。これ、特にトゲトゲの部分(皮骨)、鎧竜のほとんどはバラバラで化石が見つかるそうなのですが、こんなに繋がった状態で発見されるのは稀だそうです。というかもはや奇跡ですよねこれ…!!あまりにもすごい状態ですよね…!!素人でもわかる、この凄さ。
カナダにあるロイヤルオンタリオ博物館から初来日となったこちらは「ホロタイプ標本」です。ホロタイプ標本が何であるかという説明はありませんでしたが、「ほかの鎧竜の研究に貢献する標本である」と説明されていたので、あえてかみ砕いた説明にしているのかも、と思いました。すごい貴重なものだよ!ということですね!!
こういう多くの人が訪れる展覧会はあまり学術的になりすぎると飽きられて眠くなるかもしれないし、どれだけ素人にわかるように見せるかが肝のような気がするので、今回の恐竜博は全体的に説明文の量が少なめだと感じましたがそれも良かったと思います。
(↑ズール(守)とゴルゴサウルス(攻)のバトル。ムービーもありました)
私も恐竜大好きなくせに知識はほとんどないので、へ~これはすごい貴重なものなんだな~と思えるだけで満足できます。展覧会に行くことで新しい学説や最新情報を知ることはもちろん楽しいですが、恐竜関連の展覧会は恐竜たちの骨格標本を見てうおおおお!!!!となったり、実物化石を見てすごいいいい!!!!となったりするだけで楽しいんですよね。いい大人の一人観賞なのでこれらの興奮が外に出ることはないですが、心の中では恐竜バトルムービーを見て興奮してはしゃいでいるちびっこたちと同じ気持ちだと思っています。いくつになっても恐竜はロマン。
その他色々
ズールが主役と書いてきましたが、ほかにもたくさんの見どころがある展覧会でした。どれもこれも貴重な化石やホロタイプ標本で、この機会を逃したら二度と見られないかも…というものばかりでした。
ほか、新種の話や絶滅の話など、最新情報ももちろんあります。以前恐竜博に行った時(2019年)に、最新の研究では恐竜の色がわかるようになってきたという話題がありましたが、今回は「鳴き声」がわかるかも…という話題が出ていました。普段家にいるとほとんど考えないですが、展覧会に行くと時代と共に研究も進んでいるということを実感できてワクワクします。こう、脳がアップデートされる感じがするんです。やっぱり展覧会は最高ですね!
それと、会場の使い方が上手いなぁとも思いました。科博の特別展はいつもここで開催されますが、展覧会によって全く違った空間になっています。個人的には、近年の科博の特別展の中では一番好きな空間でした。上の写真のように影をうまく使う演出はお洒落で良かったし、会場の動線もわかりやすく、途中に坂を用意することでいろんな角度から展示物を見ることができる構成になっていました。展示物が大きくて見やすいのは恐竜展の良いところですね。
2023年の恐竜展としてオススメできる展覧会でした!もうしばらくやっているのでご興味のある方は是非!!ズール、良いですよ。
おまけ
ご飯コーナー!!特別展記念メニューをいただいてきました!私が知る限り、ここ数年で一番高価な記念メニューでした!!!(ローストビーフが原因だと思われる)。
角ばった切り方になっているサラダのドラゴンフルーツはズールのトゲトゲを、ローストビーフに巻かれたゴボウはズールの尾の棍棒を表しているそうです!美味しくいただきました。満足度が高かったです。
科博のディスカバリートーク、その他色々
特別展「毒」
WHO ARE WE 観察と発見の生物学
化石ハンター展
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
木組 分解してみました
植物 地球を支える仲間たち
加速器 -とてつもなく大きな実験施設で宇宙と物質と生命の謎に挑んでみた-
小惑星探査機『はやぶさ2』、東日本大震災から10年
大地のハンター展
メタセコイア-生きている化石は語る-
国立公園 -その自然には、物語がある-
『時』展覧会2020
特別展「和食」
絵本でめぐる生命の旅
特別展ミイラ
風景の科学展 芸術と科学の融合
恐竜博2019
ビーズ 自然をつなぐ 世界をつなぐ
大哺乳類展2
日本を変えた 千の技術博
特別展 昆虫
特別展 人体 神秘への挑戦
特別展 深海~最新研究でせまる“生命”と“地球”~
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