ユキシロ日記

ゲームのプレイ日記をメインに、博物館、美術館、音楽など。雑多な趣味ブログです。

化石ハンター展/国立科学博物館/2022.09

アメリカ自然史博物館のロイ・チャップマン・アンドリュース(Roy Chapman Andrews、1884-1960)が、1922年に大規模な調査隊を編成してゴビ砂漠へ探検を開始してからちょうど100年。本展ではこれを記念し、古生物学史上重要な、「中央アジア探検隊」の成果を紹介します。

また、アンドリュースに大きな影響を受けた古生物学者たちの研究により明らかになった氷河時代における哺乳類の進化に関する「アウト・オブ・チベット」説を紹介。その説を導き出す証拠となった「チベットケサイ」の全身骨格復元標本を世界初公開します。(公式サイトより)

2022年夏の科博の特別展は「化石と冒険」がテーマでした。世界的に有名な化石ハンター、ロイ・チャップマン・アンドリュースの冒険と功績、彼に続いていった化石ハンターたちの冒険と新たな発見、そして次なる冒険者は…!のような構成で、かつて活躍したハンターたちのやってきたことが今に繋がっている…!!というような「繋がり」を強く感じました。

アンドリュースと冒険

動物学者として博物館で働いていたアンドリュース。日本にも訪れたことがあったということで、その時の写真(和服姿)が展示されていました。日本滞在中はクジラなどの調査をしたとのことでしたが、日本語をすぐに習得して現地にも馴染んでいたそうです。元々の頭の良さはもちろんあると思いますが、どこに行っても溶け込む力というのは化石ハンターには必須なのかも…と思いました。

その後、アンドリュースは自分が師事していた教授が提唱していた説(人類の起源はアジアにある、というもの)を証明するためゴビ砂漠に目をつけ、長い年月をかけてゴビ砂漠で調査を行い数々の成果を出しました。

文章で見るとサラッとしていますが、ゴビ砂漠に化石なんてあるわけないじゃーん、という当時の雰囲気の中で数々の偉業を成し遂げたのはとんでもないことだったんだなと思いました。どんなところでも先駆者には苦労がつきものでしょうが、誰もやったことがないことをやり結果を残してくれた人がいたからいろんなことが今に繋がっているんだなぁとしみじみ。

大きな哺乳類

会場にいた巨大な哺乳類「パラケラテリウム」の全身骨格です。ロマンしかない。あれ…?そういえばこの子…どこかで見たことがあるような。

ちょっと(かなり)わかりにくい写真になってしまいましたがこちらをご覧ください。いつも科博の常設展地球館地下2階で存在感をアピールしているこの子が化石ハンター展会場に出張していたんですね~。

↑この写真、私のような素人にはたくさんの骨が埋まっているようにしか見えませんが、複数の個体が折り重なっているそうです。左下の図はそれを色で分けて解説してくれているものです。専門家って凄いなぁ。

ちべたん

展覧会後半は、アンドリュースに続く化石ハンターたちの紹介や、チベット高原で発見された哺乳類の化石について取り上げられています。哺乳類の起源はチベット高原にあったのではないかという「アウト・オブ・チベット説」、そしてこの説を裏付けることになった生き物「チベットケサイ」の生体復元モデルが会場で存在感を放っています。

チベットケサイの復元は世界初とのこと。子どもチベットケサイの命名キャンペーンをやっていたそうで、私が行った一週間ほど前に名前が決まったようでした。その名も…

ち べ た ん

笑ってしまいました。まるでオタクがつけた名前のようだ!いや可愛いのでとても好きですけど、〇〇たんってオタクが好みそうな呼び方だもの(偏見)!私も可愛いものに対して〇〇たんって呼ぶことあるもの。展覧会のグッズ売り場にはちべたんのぬいぐるみもありました。チベットケサイのぬいぐるみ…ここでしか買えないかもしれません。貴重ですね。

まとめのような何かとおまけ

例年科博が夏に開催する特別展に比べると少し地味だったかもしれませんが、化石とそれを探る研究者を化石ハンターと呼び、彼らの冒険や発見を紹介しつつ現代まで続く新たな発見に繫げていく構成はとても丁寧で真面目な印象を受けて良かったです。

私も化石や古生物が大好きな人間ですが見るだけで満足しているので、自分で発掘したいという段階まではいっていません。しかし世の中には将来化石を見つけたいと思っているちびっこがいるかもしれません。化石ハンターへの道は決して楽ではないと思いますが、化石ハンターの魅力を存分に語ってくれていたのもこの展覧会の良いところだと思いました。

世界情勢や戦争などが原因で失われた研究結果があったと説明されている部分がありました。また、アンドリュースはアメリカの人でしたが様々な国の研究者たちが後に続きました。そしてこの展覧会の監修者は女性です。

国や性別など何も関係なく地球の宝である化石を思う存分研究できる、そんな世の中であってほしいな…と思いました。

特別展記念メニューを食べることを毎回楽しみにしている私ですが、最近胃の調子がよろしくなく食欲減退気味だったので、ボリューミーな気配がした記念メニューはパスして今回は通常メニューのカレーをいただきました。美味しかったです。

特別展「化石ハンター展~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」

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