- 開催されなかった特別展
- 第1章 「和食」とは
- 第2章 日本列島の自然と食材、和食の関係
- 第3章 和食の成り立ち① 先史時代~幕末の和食
- 第4章 和食の成り立ち② 開国~戦前、戦後の和食
- 第5章 現代に息づく和食
- 感想
開催されなかった特別展
数年前から科博の特別展には全て行っているので当然この特別展にも行く予定で、ずっと前から楽しみにしていました。しかし先月中旬、新型コロナウイルスの影響により開催中止が発表されました。心のどこかで会期を伸ばして開催してくれるのではないかと勝手に思っていたのですが、現実は公式サイトに書かれている通りです。
とんでもなくショックというわけではなかったのですが、じわじわと謎の落ち込みが続き何もせずにはいられない気持ちになったので、通販で販売されていた公式ガイドブックを買うことにしました。科博の特別展では必ず売られているものですが、私にとってはこれが初めて買うガイドブックとなりました。会場に行けていたら買っていなかったと思うのである意味貴重な経験になったのかもしれません。
今回はこのガイドブックを読みながら、特別展に行った気になって感想を書こうと思います。それでは、真新しい印刷物特有のいい感じの紙質とにおいがするガイドブックを開いてみます。
第1章 「和食」とは
そう問われると案外わからないものですね…。味噌や醤油等の大豆を使った調味料、だし、白米、なんかが和食の大事な構成要素?なのかなと私はイメージしました。
ガイドブックの最初の方に「和食ってなんだろう?」という問いのもと、科博で和食展を開く意味についての対談が載っています。ここに、和食というのは日本の環境の多様性と日本人が歴史の中で育んできた工夫があってのもので、だから料理を説明するのではなく環境と人を説明することになるんだ、とありました。もうこの時点で心からのへ~!が出ます。確かに、食の文化は人間が歩んできた道なのかもしれません。
第2章 日本列島の自然と食材、和食の関係
この章では日本の自然環境と食の関係について書かれています。水、キノコ、山菜、イネ、野菜、魚、こうして見てみると自分は自然を食べているんだなぁと改めて思います。後半では発酵とは何かから始まり醤油や味噌がどうやって造られているかの解説、だしの歴史などが書かれています。
今まであまり考えたことがなかった気がするのですが、先人たちのとんでもなさを感じました。科学的なことがわかっていなくても経験と感覚で完成させていったものが現代に繋がっている…本当に凄いです。味噌も醤油も大好きです。
第3章 和食の成り立ち① 先史時代~幕末の和食
ここからは歴史の話です。先に言いますがすごく面白かったですこの章。懐石料理の誕生に深く関わった千利休、料理屋や料理本が広がりそれまでは儀式に伴うものであった和食が庶民レベルのものになった江戸時代、ほかにも各時代で食べられていた料理の紹介等もあり非常に楽しくお腹がすく章でした。ちょっと前にTwitterで流行っていた(ような気がする)牛乳から作る「蘇」も載っていました。
江戸時代の再現料理コーナー、たくさん写真が載っていてお腹がすきます。本当はこれらの模型を科博で目にできたんだろうなと思うと残念でなりませんが、写真でも十分にお腹がすきます。
第4章 和食の成り立ち② 開国~戦前、戦後の和食
諸外国からもたらされた料理により変わっていく日本の食文化やインスタント食品の普及等、現代に続く食文化の始まりが説明されています。この章もとても面白かったです。戦後の東京オリンピックや大阪万博といった国の大きなイベントも様々な契機になったことがわかりました。
ほか興味深いなと思ったトピックスがあって、それは「米の消費量の変化」というものなのですが、グラフを見てもはっきりとわかるくらい日本でのお米の消費量が減っているんですね…。理由は調べなくてもわかるかもしれません。お米を敬遠する人が増えたということですが、私は何よりもお米が好きです。パンもパスタも好きですがやはりお米です。糖質?知らぬ。ここで語ることではないかもしれませんが、お米が悪者のように扱われるのは好きではないです。栄養がちゃんとあるんですよお米には。みんな米食べよう!
第5章 現代に息づく和食
ここでは包丁の紹介や雑煮に見る和食の地域性(かなり面白かったです。自分はやはり東京らへんの人間なんだなと思いました)、お雑煮文化圏マップ等が載っています。和食という大きなくくりなので地域ごとの食文化の違いについて深く触れている特別展ではなかったのですが、この辺も掘り下げたら確実に面白いことになるんだろうなと思いました。
感想
お腹がすきました!現地に行っていたらもっとすいていたことでしょう。しつこくて申し訳ないのですが開催中止が本当に残念です。関係者の方々が準備をしている様子をSNS等で見ていたので余計に悲しいです。しかしこうして公式ガイドブックを手に取り、普段だったらここまでしっかり解説文を読まないだろうなという部分にまで目を通すことができました。
私は家で料理をすることがあっても大したものは作っていません。できるだけ楽をしたいと考えているので入れるだけの簡単な調味料を使うことが多いです。しかし、たまにはだしくらい一からとってみようかなぁなんてことを考えました。
また、食べるという行為の裏(?)には自然や人が関わっていることを改めて知りました。「いただきます」という言葉には様々な思いが詰まっている気がしました。これからも食べること、和食、好きでいたいと思います。
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