ユキシロ日記

ゲームのプレイ日記をメインに、博物館、美術館、音楽など。雑多な趣味ブログです。

特別展「毒」/国立科学博物館/2022.11

 

「毒」は基本的にヒトを含む生物に害を与える物質として理解されています。しかし、毒のなかには単に毒にとどまらず、薬効をもつものもあります。「生物に何らかの作用を与える物質」のうち、人間にプラスに働くものを薬、マイナスに働くものを毒と呼んで、多様で複雑な自然界を理解し、利用するために人間が作り出した概念と考えることができます。

本展では動物、植物、菌類、そして鉱物や人工毒など、自然界のあらゆるところに存在する毒について、動物学、植物学、地学、人類学、理工学の各研究分野のスペシャリストが徹底的に掘り下げ、国立科学博物館ならではの視点で解説していきます。(公式サイトより)

コノセカイハ…ドクダラケ…

毒の博物館

国立科学博物館が「毒」をテーマとして展覧会を開催するのはこれが初めてだそうです。他テーマの展覧会でも毒を持つ生き物や植物が紹介されることは多い気がしますが、今回はまさにそんな彼らが一堂に会するスペシャルな特別展!「毒」と聞いてワクワクしない人はいない!!(大きな主語)

会場に入るとすぐに迎えてくれるのが上の写真に映っている方々です。でかいです。個人的な思い出ですが昔ブルーベリー狩りに行った時、写真左下にいる「イラガ」に刺されたことがあります。数秒に一回注射針で刺されるような痛みがしばらく続いて大変でした。苦い思い出です。こんなところで再会できるとは思わなかったよイラガ…(怯)

(↑日本の三大毒性植物)

展覧会前半は、この世界にある毒にはどんなものがあるのか、毒を持った生物の紹介、という流れで進んでいきます。聞いたことがあるものからこれも毒!?というものまで盛りだくさんで、まさに毒の博物館でした。

(↑フグさんたち。後ほどランチでいただきます)

一言で毒を持つと言ってもその使い方は様々で、狩りをするために毒を使う者、身を守るために毒を使う者、さらに発展して毒のある生き物を襲ってその毒を自分のものとして使ってしまう者、自分は毒を持たないが身を守るため毒を持つ生物に擬態する者、等。その毒の使い方は誰に教わったの!?と言いたくなるくらい、想像を超えた方法で毒を利用する生物たちの神秘に驚かされました。世界は不思議で満ちています。

(↑毒キノコと毒のないキノコ。見分ける自信、全くありません)

全体的にさっぱりした展示空間だな~という印象(例えば恐竜展のように目玉のでかい展示はこれ!というようなものがこの展覧会にはありません)は受けましたが、様々な分野の専門家が集まってできた展覧会というだけあって、生き物、植物、鉱物、その他色々、あらゆるところから毒が集まってきていてワクワクする面白さがありました。

(↑コアラVS.ユーカリ)

いろんな情報がひとつの場所に集まっているという高揚感、ページをめくる度に新たな知識が降ってくる楽しさ、これはまさに…図鑑!ということで小さい頃から図鑑を読むのが好きだった人、現在進行形で図鑑が好きな人は特に楽しめると思いました。

毒という大きなテーマなので一つひとつについてはサラッとした解説で終わっていますが、もっと深く知りたい人は関連書籍を買うもよし、自分で勉強するもよし、です。博物館が開催する企画というのは、元から詳しい人に対するものというより全く詳しくない…つまり素人を相手に少しでも興味を持ってもらいたい、というものだろうと私は思っています。そういった意味でこの展覧会はとても良いものだと思いました。

人間と毒

(↑キャッサバとタピオカ。お世話になってます)

後半は人間が毒とどのように付き合って来たか、私の周りは毒に溢れている、ということがよくわかる内容の展示になります。

人間は古来から毒を利用してきました。毒のある生物を食べるのはもちろん、医薬品に使ったり工業製品に使ったり、その用途は様々です。毒は危険…で終わるのではなくそこから発展させて利用するのは人間ならではというか…人間凄いなと思いました。人間は知恵を使う生き物。世界に溢れる毒をどう使うのか…いろんなことに思いを馳せたくなってきますね。

毒とは何か

最初から最後までこれがこの展覧会の軸だったと思います。同じ物質でも適量であれば薬、過剰摂取すれば毒、というような話はよく聞きます。結局のところ「毒」とは人間が作り出した概念で、それを決めるのは使い方だったり量だったり、そういうことなんだな~、ということがよくわかる展覧会でした。

科博が開催してきた他展覧会と比べて標本が少なかったり目玉展示がなかったり、地味な感じも否めなかったと思いますが、話題性は抜群で多くの人が興味を引かれているのも事実。単純に楽しい展覧会だったと思うし、最後のほうで常設展の紹介をしているところも良かったと思います。研究者の方々の毒にやられたエピソードも興味深く読ませていただきました。

おまけ

科博内のレストランムーセイオンで今回もいただいてきました!特別展記念メニュー「真フグのクルート焼き 紫キャベツのソース」です!!今回の記念メニューが何になるか予想していたのですが全然当たりませんでしたね…(紫芋のコロッケと予想していました)。フグがくるとは思わなかった。

クルート焼きというのが何だかわからないままいただきましたがとても美味しかったです!!ソースも美味しかった。ピンクの花のようなサラダの周りにあるのは酢漬けの大根です。大根を染める…その手があったか。ちなみにスープはきのこでした。お腹いっぱい大満足。

特別展「毒」 <オフィシャルHP> (dokuten.jp)

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