創立150年おめでとうございます!私にとって東京国立博物館は「古い時代から現在まで守り続けられている物の価値」と「それを守ってきた人々」に思いを馳せる機会を与えてくれる博物館です。
東京国立博物館(東博)は、令和4年(2022)、創立150年を迎えました。
明治5年(1872)の発足以来、日本でもっとも長い歴史をもつ博物館として、かけがえのない文化財の保存と公開という命題を両立させながら、日本の文化を未来へ、そして世界へ伝えていく役割を果たしてきました。本展は、この大きな節目を記念して開催するものです。(公式サイトより)
第1部 東京国立博物館の国宝
通称「国宝展」。この展覧会は2部構成になっていて、第1部でいきなり国宝が登場します。本当に入ってすぐ国宝です。その後もしばらくは前も後ろも国宝、周り全部国宝、国宝に囲まれる私…!という展覧会です。贅沢な空間とはこのこと。
最初に出迎えてくれたのは「松林図屏風」。これは以前お正月の時期にトーハクで観たことがありました。他にも、これ観たことある!トーハクで!!という国宝がいくつかあり、この博物館が普段から国宝を展示しているということを特別展に行くことで再確認する…という不思議なことが起きました。館内にいると感覚が麻痺してきますが、国宝に限らずたくさんの宝を見せてくれる…それがトーハク!!
そんなトーハクが所蔵する89点の国宝を全て出します!という熱い展覧会がこれですが、会期中に展示の入れ替えが多々あるので、絶対にこれが観たい!というお目当ての国宝がある場合は事前に調べる必要があります(ホームページに載っています)。
私は特にこだわりがなかったのと早く予約しないと枠が埋まると思っていたので(実際そこまで争奪戦という感じではありませんでした)この時期を選んで行きましたが、家で出品目録を眺めている今、後期しか展示されない「洛中洛外図屛風」は観たかったなぁ…と思いました。
ここでこちら↑をご覧ください。展覧会に行くと「国宝スタンプラリー」なるものがもらえます。この展覧会…複数回行くことを推奨しているのでしょうか…!?確かに89点すべての国宝を観るためには展示期間の関係で何回か行く必要があります。様々な事情で長く展示できない国宝もあるということはわかっています。しかし全部来た人にこれをプレゼント!というような企画をやっているのは予想外だったので驚きました。
これ…コンプリートできる人がどれくらいいるのか気になります。争奪戦というほどではなかったと少し前で書きましたがそれでも予約が絶対に必要な展覧会で、そう自由に行く日や時間を選べるわけでもないはずです。当たり前ですが特別展の入館料も入る度に必要です。コンプリートの難易度高くないですか!?…と正直思いました。ごちゃごちゃ書きましたがこれはコンプリートするであろう人に対する嫉妬です。(できるなら私も全部観たい!!)
話がズレてきたので戻します。国宝です。
展示は「絵画」「書跡」「刀剣」といったジャンルごとに分かれています。どの空間も共通して厳かで静かな空気が流れていました。展示の仕方(見せ方)が美しいというのはあると思いますが、どれもこれも私たちは国宝なんだ!という自信というか…オーラのようなものが溢れ出ていて、凛とした佇まいで観ているこちらがキリっとしてしまうような、そんな感じがしました。特に刀剣の部屋は照明が暗かったのでより一層国宝が輝いて見えました。美術館で有名な絵画が放っている存在感の凄さを目の当たりにした時と似たような感覚でした。
第2部 東京国立博物館の150年
国宝を堪能した次はトーハク150年の歴史に触れてみましょう、という流れです。こちらの方がカジュアルな雰囲気の空間でしたが、展示物は教科書で見たことある!となるアレやコレ、あつ森で見たことある!!!!となるアレやコレがたくさん。これが本物か~!!というワクワク感を終始感じることができました。
トーハクの歴史も知らなかったことばかりで興味深く、150年もの長い間この博物館が守り続けてきたものが今私たちの目の前にあるんだと思うと不思議な気持ちになりました。150年ともなればこれまでの歩みの中で大勢の人がトーハクに関わり、この博物館と宝の数々を守ってきたのだと思います。物は簡単に壊れてしまいます。同じ状態で後世まで残していくのがどれほど大変なことか…。その意味、価値、改めていろんなことを考えることができました。
そして150年後へ
展覧会を観終えた私たちを見送ってくれるのは「150年後もお待ちしています」という言葉。このポスターは以前SNSで話題になっていた気がしますが素晴らしいですね…。国内最古の博物館、最多の国宝を所蔵する博物館の、それこそ矜持と言っていい熱い思いを感じました。
ほかの特別展のように全体を通してひとつにまとまっているような展覧会としての一体感?は今回少なめだと思いましたが、それでもこのようにパワフルな展覧会を記念すべき年に開催してくれたこと、そしてそれに行くことができたこと、本当に嬉しく思います!私が生きている間にこのような企画はもうないでしょう。きっと次は150年後…。その日までここで観た国の宝がそのまま残っていることを願います。
余談ですが、トーハクの敷地内には複数の建物があって、いろんなところでいろんな企画が開催されています。150年を記念して行われている企画は特別展だけではなく他にも色々あります。が、今回ほとんど観ることができなかったので期間中にもう1回トーハクに行きたいなぁ…と思っています。
特に11/2から始まる「150年後の国宝展」という企画は絶対に面白いと思うので行きたいです。150年後の未来に伝えたいあなたにとっての国宝は何ですか?というテーマで未来の国宝を募っていたのは知っていました。どんな国宝が寄せられたのか…その結果を見せてくれるのがこれだと思うので絶対に面白いやつですよ!
(追記。行ってきました→150年後の国宝展、博物館に初もうで、松林図屛風/東京国立博物館/2023.01)
東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
150年後の国宝展、博物館に初もうで、松林図屛風
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