ユキシロ日記

ゲームのプレイ日記をメインに、博物館、美術館、音楽など。雑多な趣味ブログです。

名品ときたま迷品/サントリー美術館/2024.04

「メイヒン」と聞いてまず思い浮かべるのは、国宝や重要文化財に指定され、その芸術的な価値の高さを誰もが認めるような「名品」ではないでしょうか。しかし「メイヒン」とは、それだけにとどまりません。これまでほとんど注目されず、展覧会にもあまり出品されてこなかった、知られざる「迷品」の世界もまた、同時に広がっているのです。

本展では、「生活の中の美」を基本理念とするサントリー美術館コレクションの「メイヒン」たちを一堂に会し、さまざまな角度から多彩な魅力をご紹介します。(公式サイトより)

サントリー美術館に行くのはこれが4度目です。この美術館に行くと毎回感じているような気がしますが、やっぱり今回も同じことを感じました。あとで書きます。

メイヒン

(「毬・毬挟」江戸時代)

メインビジュアルに使われている謎の物体がどーんとお迎えしてくれるところから展覧会はスタートします。最初からクライマックス。写真で見てもなんなのかわからなかったこれ、毬でした。これほど状態が良く形が美しい毬は珍しく、毬制作者が目指す理想の姿とも言えるのだとか。保管の仕方まで美しくて凄いなと思います。

(「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」 鎌倉時代)

サントリー美術館が所蔵する国宝です。北条政子が愛蔵した7つの手箱の中のひとつで、遠い昔から虫や火災の害をほとんど受けず今に至り、北条政子の霊力が宿っているとの伝説があるのだとか。ついこの前作られたと言われてもそうですか~と言いたくなるくらい古さを感じません。細かい部分まで美しいデザイン。

この国宝はサントリー美術館の企画の中でも数年に一度しか出てこないそうなので、気になる方は是非。

作品への愛

さて。初っ端から存在感のあるメイヒンが迎えてくれたわけですが、きっとこの展覧会の肝はこの後だったんだろうなと私は思います。

(「白泥染付金彩薄文蓋物」 尾形乾山)

制作者の尾形乾山は尾形光琳の弟。この入れ物は上から見ると形がちょっと歪んでいるのですが、尾形乾山はこの他にも歪んだものもそのまま作品として完成させることが多々あったそうです。形が整っているものだけが作品ではない、歪んでいても良い、そんなことを考えていたのかもしれません。

…というようなこと(↑)が作品の解説として書かれているんですこの展覧会。その作品がどのようなものであるかという「説明」とは別に、「学芸員のささやき」として書かれているそれらは易しくてわかりやすく、鑑賞者の興味を引きます。

(「藍色ちろり」 江戸時代)

もう何度も同じことを思っているので、この美術館の特徴として挙げても良いと思います。サントリー美術館の解説良いですよね!!

美術展の解説は小難しい言い回しや専門用語が並んでいることも多いですが、ここはそれだけでなく素人に優しい解説をしっかり用意してくれる。そんなところが好きです。作品を観る着眼点も良く(なんだか偉そうですみません)、同じ作品でも企画によって見せ方や注目ポイントを変えている。

「生活の中の美」を基本理念とする美術館というだけのことはあり、作品を身近に感じられるような工夫が見られて好感が持てます。今回のテーマは「メイヒン」ですが、どんな作品をメイヒンだと思っても良い、人それぞれで良いんだよ的な懐の深さを感じるのも好きでした。この美術館にはこれからもその視点で来たか~!と言いたくなるような展覧会を開催してほしいです。

展覧会とは無関係なおまけ

サントリー美術館は東京ミッドタウンの中にありますが、季節を感じるイベントが開催中でした。もう5月!!

こいのぼりをキャンバスに約100人のアーティストがデザインしたそうで、愉快なこいのぼりがたくさん泳いでいました。これもある意味何でもありなアートといった感じで、自分だけのお気に入りこいのぼりを見つけてみるのも楽しいかもしれません。

サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品 サントリー美術館

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