ユキシロ日記

ゲームのプレイ日記をメインに、博物館、美術館、音楽など。雑多な趣味ブログです。

角野隼斗 全国ツアー 2023 “Reimagine”/サントリーホール/2023.02

角野さんの全国ツアー東京会場(サントリーホール)に行ってきました!

2022年の全国ツアーに行ってからもう1年経ったのかと…初めてサントリーホールに行ったあの日からもう3年以上経ったのかと…。幸運にも角野さんのリサイタルにはこれまでに何度か行くことができていますが、その度に時の早さを実感しているような気がします。

自身最大規模の全国ツアーを全16公演開催。
300年前の作品と現代の作品を並列に捉えることでクラシック音楽を生きた音楽として“再構築“する。
ジャンルを超えた活躍を続ける角野隼斗の新たな挑戦。(公式サイトより)

感想

ふわっとした全体の感想

角野さんのリサイタルはクラシック音楽のリサイタルではなく、ジャズのライブでもなく、「角野さんのリサイタル」なんだな、と今回も強く思いました。

私はあまり多くのピアニストを知らないので比較しながら感想を言うことができないのですが、今回のようなプログラムはかなり斬新なのでは…?と思いました。通常続けて弾いていくものだと思われるカプースチンの8つの~エチュードの間にバッハの曲が挟まっているんですよ、サンドウィッチのように。こんなプログラム初めて見ました。

このツアーには「Reimagine(再構築)」というタイトルが付けられています。クラシック音楽とはこういうものだ!という(無意識にも)一人ひとりが持っている感覚を一度すべて放り出し、改めてクラシック音楽の魅力を探ってみませんか?というような角野さんの思いが込められているそうです。

私はそんな角野さんの思惑に気持ちいいほど綺麗に引っかかり、このリサイタルを聴いて家に帰ってきた今、クラシック音楽とは何か、古い音楽とは…現代の音楽とは…というようなことを考え始めて頭が混乱しています。とても心地の良い混乱です。私は芸術分野の「答えのなさ」が好きです。永遠にわからない問いを追い続ける…それは角野さんも普段からやっていることなのかもしれません。

ふわっとしたプログラムの感想

昨年の全国ツアーはショパンの色が強めだったように思いますが、今年はほとんどショパンを感じませんでした。角野さんのオリジナル曲「追憶」「胎動」はショパンの曲からインスピレーションを受けているもので、今回もこの2曲は演奏されたのですが、それでもショパンが顔を出してこなかったというか、角野さんの中にいるショパンが薄まったような感じがしました。

プログラムにも書かれていましたが、昨年の角野さんはバロック音楽にハマっていたようで、その魅力を再発見した上でジャズとの共通点を見出していたようです。いろいろな音楽に興味を持ってそれらを吸収し、自分ならではの解釈を加えて私たちに届けてくれる。角野さんはそんな人だと思います。なので、昨年のツアーとは曲目も空気感もプログラム全体を通した時に感じる余韻も、何もかも全く別のものでした。

あまり情報を追いかけていなかったので、プログラムが事前に公開されていることを公演当日にホームページをチェックして初めて気付きました。ざっとプログラムを見て私が最初に思ったことは「ほとんど知らない曲だな…」でした。元々クラシック音楽の知識が乏しい人間です。バッハとカプースチンは名前を知っていましたが、曲までわかるのは数曲…。私は今回角野さんのリサイタルを楽しめるだろうか…とその時ちょっと思ってしまいました。

が、そこは全く問題なかったし、問題がなかったどころか最高に楽しく素晴らしい時間を過ごせました。

バッハの曲は落ち着きますね。決して静かなわけではないと思うのですが聴いていると不思議と安らぎます。そしてカプースチンの曲は…変態現代アートのような複雑さ、わけのわからなさがあるのに突然かっこよくなる、何を弾いているのか全然わからないけど聴いていてテンションが上がる…そんな感じでした。すごく難しい曲に聞こえますが角野さんがあまりにもサラッと軽やかに弾くので全然難しそうに感じないところ、凄いと思います。

そんなバッハとカプースチンの曲がほぼ交互に演奏される最後のプログラム。今回のリサイタルではこれが一番印象深かったです。舞台に置かれた謎の照明4本について、数学の2進法がどうのこうのとトークコーナーで説明してくれました。数学と聞いただけで拒否反応が出そうになりましたがこれはこの後演奏される曲目をより理解しやすくするための演出ということで、角野さんなりの親切だったんですね。なるほどわからん。

途中、バッハの曲を聴いている時に、あれ…これカプースチンのさっきの曲に似てるな…というようなことを考えた瞬間が何度かありました。これはまさに角野さんの術中にはまったということで、バッハのような古典音楽とカプースチンのような現代音楽に共通点があるかもしれない…と、私が気付かされたということなんです。生きた時代も作風も全然違う作曲家で交わることなどないような気がしていましたが、そんなことはないのかもしれない…もしかしたら似ているところが割とあるのかもしれない。

このリサイタルを聴かなければおそらく一生このようなことには気付かず(考えず)過ごしていたと思います。ピアノのリサイタルを聴きにきて良い音楽だった~良かった~という感覚だけでなく新しい発見までさせてくれるとは…さすが何が飛び出すかわからない角野さんらしいリサイタルだな、と思いました。

まとめのような何か

私が音楽関連の感想を書く時は曲ごとに感想を書くことが多かったと思うのですが、今回はそれができませんでした。そもそも知らない曲がほとんどだったことと、私は弾く側の人間ではなく技術的なことは全然わからないためそこに触れることもできません。グランドピアノとアップライトピアノの音の違いについても、今回はかなり違いを感じましたがどちらがこれであれで~というような細かいことはよくわかりません。

そういうわけで必然的に(?)このようなふわっとした感想になりました。演奏を聴いている時も夢の中にいるような感覚に陥った時がありましたが、ずっとふわふわしているような感覚です。

でもそれで良いか~。と思わせてくれる何かが角野さんのリサイタルにはあるような気がしています。ご本人も自由にやりたいことをやっているように見えるし、クラシックはこうである!ジャズはこれでなければならない!みたいな枠組みからスルスルっと抜け出してくる人だと思っています。

約3年前、角野さんはこのサントリーホールで「人と違うことをするのは怖いけど、自分のしたいことをしたい」というようなことを話していました。あれから色々な経験をして、今やすっかり有名人になった角野さん。知名度だけでなく輝かしい多くの実績も伴ってきた今、もしかしたら数年前よりもやりたいことができているのでは…?と勝手ながら思いました。

肩書や実績・経歴などをずらっと並びたててその人を紹介するのはあまり好きではないですが、角野さんの場合はそれらが現在の「自由に好きなことをできる」に繋がっているのかもしれないと、今日そんなことを考えながら帰りました。信頼されているから好きなようにやらせてもらえる、信頼されているから今までと全然違う方向性の活動をしても付いていくファンがいる。そういうことなのではないかと。

角野さんの生演奏を聴く機会に恵まれる度に「(生演奏を聴けるのは)これが最後かもしれない」と毎回必ず思っています。来年あるかどうかなんて誰にもわからないし、チケットが取れないかもしれない、さらに自分の体調や時間がうまいことリサイタルの日程に合わさってくれるかもわかりません。

それでも来年また角野さんの全国ツアーリサイタルに行きたいです!!きっとまた今回とは全く雰囲気の違うプログラムを用意してくれることと思います。とても楽しみです。

(↑撮影OKタイムの写真です。今回も豆のようでした…いつも豆…(笑))

Hayato SUMINO CONCERT TOUR 2023 Reimagine (hayatosum-tour2023.com)

過去に行った角野さん関連コンサート感想

STAND UP! CLASIC FESTIVAL'22/東京芸術劇場、GLOBAL RING THEATRE/2022.11
角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and…”/東京国際フォーラム/2022.02
角野隼斗 オールショパンリサイタル/浜離宮朝日ホール/2021.09
角野隼斗 ピアノリサイタル/サントリーホール/2020.12
世界まるごとクラシック2020/東京国際フォーラム/2020.02
ラフォルジュルネTOKYO2019/国際フォーラムなど/2019.05

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