角野さんの全国ツアーファイナル、東京会場に行ってきました。これまでに行ったことのある角野さん絡みのコンサートは以下の通りです。↓
ラフォルジュルネTOKYO2019/国際フォーラムなど/2019.05
世界まるごとクラシック2020/東京国際フォーラム/2020.02
角野隼斗 ピアノリサイタル/サントリーホール/2020.12
角野隼斗 オールショパンリサイタル/浜離宮朝日ホール/2021.09
感想
2021年は色々なことがありましたがその集大成としてのツアーだと、角野さんは話していました。しかし集大成としているこのツアーでさえ彼にとっては通過点、今日のコンサートを聴いて私はそんなふうに感じました。角野さんにとって自身の活動は「ここで一旦区切り」というようなものはなく、ずっと繋がっているのではないかなぁとオープニングのムービーを見ても感じました。
クラシック曲を聴くのは大好きですが詳しくはありません。今回のプログラムも知らない曲が多かったし、曲名と曲は全然結び付きません。なので、ショパンのピアノソナタ第2番変ロ短調が「葬送」だと角野さんが弾き始めるまで気付きませんでした。曲が始まってからこの曲知ってる!!となりました。私の知識はその程度です。
上記の葬送を含め、いくつかの暗い曲が今日の私にはとても沁みました。音楽は明るく楽しいだけではないと常々思っていますが、角野さんご自身が放つ昨今のキラキラ感と華やかさに、今にも死にそうな雰囲気の暗い曲はどう考えても合わないような気がしていました。しかしそうではなかった。角野さん、思いのほか暗い曲が似合うかもしれない…そう感じました。今までのコンサートでは感じたことのないような感覚でした。
照明の演出もあいまって…というのもあると思いますが、ポツンと照らされたアップライトピアノ(ご自宅から連れてきた相棒とのこと)に、これまたポツンと広いステージの隅のほうで暗い曲を弾く角野さん。暗い…美しい…。そうです暗い曲は美しいのです…!大好き。ツアーのプログラムが明るく華やかな曲ばかりでなかったことが嬉しいです。こういう曲を角野さんがツアーで弾いてくれたことが嬉しい。華やかさを完全に消し去ったところにある闇のような静けさ感じさせてくれたことが嬉しかったです。
オリジナル(?)の「胎動」と「追憶」が本当に素晴らしかったと思います。この2曲はどこかで聴くことができる曲でしたっけ…?(すべての情報を全然追えてないので私が知らないだけかもしれません)。どちらもショパンからインスピレーションを受けて…といった感じの曲で雰囲気も出ていて最高でした。
ツアーファイナルの特別プログラム「ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 ヘ調」。私は初めて聴く曲でしたが、ガーシュインの他の曲と雰囲気が似ているところもあるような気がして、自由気ままな感じや縦横無尽な感じが角野さんにピッタリな気がしました。オーケストラの生演奏を聴くのは本当に久しぶりだったので迫力のある演奏が聴けたことも嬉しかったです。
約2時間のコンサート、あっという間でした。ガーシュインのピアノ協奏曲で華々しく煌びやかに終わったあとにきたアンコール1曲目の静けさ。このギャップ。夢の中にいるような曲調が、本当にもう終わってしまうんだな…寂しいな…という気持ちを増幅させてきたかと思えばその次は写真撮影OKな子犬のワルツですよ。大忙しですよ感情が。真のラスト「英雄ポロネーズ」はただひたすらに美しく綺麗でした。
終わったあとの充足感がすさまじいコンサートでした。行けて良かった。本当にそう思います。
(ここで余談。最初のトークで人の多さに感激?する角野さんが「後ろのほう全然見えません」と言ったことがツボでした。後ろの席までちゃんと見えてますよ~的なリップサービスは一切しない正直なところ、良いと思います!)
まとめのような何か(+自分語り)
昨年のショパンコンクール出場以降、角野さんの活躍の幅がかなり広くなったと感じています。配信活動はもちろん、雑誌インタビュー、ラジオ、そしてテレビ。こんなにテレビに出ることになるとは…。ご本人も予想できなかったことに今なっているのでは?と思います。
私自身がテレビ番組にほとんど興味がないというのもありますが、角野さんがテレビにたくさん出るようになって、自分がなんとも言えない気持ちになっていることに気付いていました。自分の興味が沸かないステージにどんどん立ち始めていると…。そして角野さんが何かに紹介される時の輝かしい実績や肩書を目にする度に、眩しすぎて見るのがしんどい…と感じることも増えてきていました。
元々華やかさを持った人だとは思っていましたが、最近は輪をかけてキラキラしているように見えて、自分の私生活があまりキラキラしていないのでその差もなんだか苦しく感じてしまい、角野さんのここ最近の活動はほとんど追えていない状況でした。このままスター街道まっしぐらで芸能人のようになっていくのかな…それは寂しいな…と勝手に思っていました。
しかし!今日のコンサートをすべて聴き終えた今、考え方が変わりました。
角野さんは自分が歩きたい道をただひたすらに歩いている(前に進んでいる)だけなんだということがわかったのです。スター街道を選んで歩いているわけではなくて、たまたま今そのようなかんじになっているだけで、彼がやりたいことは昔から変わらず「音楽」だったということを、今日のコンサートで強く感じました。
ピアノを弾いている角野さん、この時間を楽しんでいるような感じがしました。最後のトークで「まだ学びたいことがたくさんある」「これからもたくさん吸収しそれらを還元させていきたい」と話していたのが印象的でした。やはり彼は今も歩き続けている途中なのだと思います。
私は思いました。角野さんが今どこを歩いていようが今どんな活動をしていようが、こんなに素晴らしい音楽を聴かせてくれるなら、私はそれで満足だと。きっと今後も角野さんの活動すべてを追うことは無理だと思います。テレビ出演にも興味がないので見ないと思います。でも、それでも私は角野さんの音楽が好きです。次にいつ生演奏を聴けるかわかりませんがまた聴きたいです。そう、また聴きたいといつも思わせてくれるのが角野さんのコンサートです。これがある限り、私は角野さんの音楽に触れ続けられるような気がしています。
素晴らしいコンサートでした。この先の角野さんの行く道が明るいものでありますように。
(写真撮影・SNS等への投稿OKだったシーンです。豆粒のようでした…笑)
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