
本展では、そもそも災害とはなにかという視点から、これまでの地震や水害のデータビジュアライゼーションをはじめとしたリアルな状況把握や、防災に関するプロダクト、災害をきっかけに生まれたプロジェクトなど、人々が直面してきた自然災害を広く見つめ直します。
会場には、いくつかの「問い」が散りばめられています。状況によって、答えは一つではありません。人によって正解も変わるかもしれません。しかしあらかじめ想像し、近くの人の答えを見聞きして、その瞬間を予想外としなければ、未来は少し変えられるかもしれません。新しい備えと、気持ちの準備をはじめませんか。(公式サイトより)
2024年に開催された「ゴミうんち展」以来、約1年ぶりの21_21 DESIGN SIGHT訪問です!最初テーマを見た時、この施設っぽくないなと思いました。デザインを軸とする施設で災害や予防とはどんな感じになるのだろうと期待半分不安半分。
「意識する」ということ
そして行ってみた感想としては、いつもよりボリューム少なめ、21_21 DESIGN SIGHTらしさはやはりあまり感じられなかった、しかし内容は良い企画展、という感じでした。

この場で一番重要なことは災害について「意識すること」だったのかな?と私は思いました。
こういう場に行っているだけでも意識していると言えるような気もしますが、会場では普段は開いていないこんなところ↑も中を見せてくれたり、強調して見せてくれたり、普通に行っていたらまずここは注目しないだろうな、みたいな場所を意識して見るような作りになっていました。

「365日の防災欄(福島民報社)」
これ↑がすごく印象的でした。2022年7月30日から毎日、新聞に載っていたものとのこと。内容はすべて防災に関わることです。防災の日や3月11日付近などで防災特集が組まれることは多いですが、その日だけではない、災害はいつやってくるかわからない、そんな当たり前のことを再認識させられると共に、災害を経験した人たちとそうでない人たちの意識の違いも目の当たりにした気がしました。

災害が起こってしまった後のことについて考えるきっかけになりそうなスペースも多々あり。こちらはいろんな非常食。見たことがあるものからこんなにお洒落な非常食が!?と思うものまで色々ありました。
非常事態だから仕方ないと色んなことを我慢してしまうことになりがちかもしれませんが、食は人間が生きる上でとても重要な楽しみの一つでもあります。こんな風に毎日違うメニューのご飯が食べられたら…。理想論かもしれませんが願ってしまいます。

感動…というと少しニュアンスが違うような気もしつつ、凄い!と思ったのはこれ↑でした。
私は避難所生活をしたことのない人間ですが、基本的に一人でいることが好きなので、学校の体育館などで大勢の他人が雑魚寝のような状態で常に一緒にいる状況…そのストレスは想像に難くないです…。
これ…凄いですよね。紙でできた筒と布で仕切りを作っているだけ…と言えばそうなのですが、しっかり「個」のスペースができあがっています。これだけでもあるかないかでかなりストレス度合いが違うのではないかと思いました。
そして日常へ

冒頭でこの施設らしくない企画だったと書きましたが、この施設がやってくれたから私は行きました。普段「意識していない」人間に「意識させる」。その意味では大きな意義のある企画展だと思いました。
365日、24時間、ずっと災害のことを考えるわけにはいきません。予防の大切さはわかっているつもりですが、ずっとそればかりでは疲弊してしまいます(少なくとも私は)。自分なりに「そのとき、どうする」のか、改めて考えてみたいと思いました。
余計な後書きになりますが、少し行っていない間にチケット代が値上がりしたようで入る時にちょっとだけ怯みました。時代の流れもありやむを得ないんだろうなということはわかるので、これからもこの施設にはいろんなものを見せてほしいなと期待しています。ここにしかいない空気感があると思っているので…!
21_21 DESIGN SIGHT | 企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」
ゴミうんち展
未来のかけら: 科学とデザインの実験室
もじ イメージ Graphic 展
Material, or
The Original
「2121年 Futures In-Sight」展
ルール展
トランスレーションズ展
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