世界は循環しています。さまざまな時間軸のなかで、ひとつのかたちに留まることなく、動き続け、多様に影響し合い、複雑に巡っています。その結果、いわゆる自然界においては、ゴミもうんちもただそのまま残り続けるものはほとんどありませんでした。しかし、いま人間社会では、その両者の存在は大きな問題となっていますし、文化的にもどこか見たくないものとして扱われています。
ゴミ捨て場や水洗トイレは、まるでブラックボックスのように、私たちが忘れるための装置として機能してきたかもしれません。完全に消えてしまうものなんて、ないのにもかかわらず。(公式サイトより)
待ってました!待ってましたよゴミうんち展!!開幕して2日目に行ってしまいましたよ!!!ゴミとは何か、うんちとは何か。
ゴミ、うんち、トイレ、環境
この施設の企画展は、入り口付近のコンクリの壁にタイトルがデザインされた垂れ幕(?)がかかっているのが恒例ですが、今回はあえて真っ白に見える謎の垂れ幕があるだけ。目的を持ってここに来る人は良いですが、通りがかっただけの人は全くなんなのかわからない。随分攻めていますね…!こんなにインパクト大な企画展名を出さないなんて。
(↑初めて知った知識)
しかし中はしっかり内容が詰まっていますよ!私たちが「ゴミ」「うんち」と呼んでいるものは何か、それらはいらないものとして捨てる・流すことしかできないものなのか。今まで見てこなかったもの=ゴミやうんちと改めて向き合うことで何か起きるのでは…?
みたいな感じの企画展でした。真面目に未来のことを考えようと奮闘する場でした。
(↑トイレにまつわる色々)
公式サイトに「世界の循環に向き合う実験の場」とあります。「循環」という言葉は今回の大きなテーマだと感じました。
会場に展示されているのは様々な視点から「循環」を捉えたアートや活動紹介や研究発表です。通常ゴミとされる物の再利用、本来の使用目的を終えた後に残った物の再利用など、そこで終わるのではなく循環させることで新たな価値が生まれる、みたいなことを考えさせられるような展示が多かったと思います。
自然との付き合い方が切っても切れない話になってくるので、今回は博物館っぽい要素も多めだなと思いました。
(「気配 - 覆い」 吉本天地)
私が一番印象的だと思った展示はこちら。綿花(コットン)を素材として作られた苔が木材でできた四角い物体を侵食していくかのように広がっている…というものですが、この作品の苔、会場の別の場所でも見られるんです。
あれ?こんなところにもさっき見た苔が侵食してる…!ということに「気付く」。おそらく、この作品を見る前と後で気付くか気付かないか変わってくる。ゴミやうんちや循環というテーマとはちょっと外れている作品だと初めは思ったのですが、積極的に「見ようとする」ことを促す意図もあるのだとしたら…ゴミうんち展にピッタリな気がしてきました。
すべては意識するところから始まるのだから。
(↑今回の企画の中庭はこんな感じ。良い空間ですね)
そして循環
これも公式サイトに書いてあるのですが、循環というテーマは難しいですね。展覧会の感想を書くのも難しい…。ゴミうんち…。
そんな難しいテーマを「デザイン」を使っていかに面白くするか、ということを考えながら作られたのが今回の企画とのことでした。
デザインを軸として様々な展覧会が開催されるこの施設、毎回面白い企画をやってくれてすっかりファンになっている私ですが、やっぱり良いですよねここ。広い展示エリアがどんな空間になっているか毎回楽しみだし、中庭も楽しみだし、何をどう見せるかという部分が本当に毎回違って楽しいです。
最後に素晴らしい句を紹介させていただきます。みんな等しくゴミうんち。
21_21 DESIGN SIGHT | 企画展「ゴミうんち展」 | 開催概要
未来のかけら: 科学とデザインの実験室
もじ イメージ Graphic 展
Material, or
The Original
「2121年 Futures In-Sight」展
ルール展
トランスレーションズ展
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