ユキシロ日記

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ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?/国立西洋美術館/2024.03

この展覧会は、国立西洋美術館においてはじめて「現代美術」を大々的に展示する機会となります。こんにちの日本で実験的な制作活動をしている、さまざまな世代の20を超えるアーティストたちの作品が集います。

1959(昭和34)年に松方コレクションを母体として開館した国立西洋美術館の成立前史の記憶を紐解いてみると、この美術館はむしろ、開館以後の時間を生きるアーティストらが所蔵品によって触発され、未来の芸術をつくってゆける刺激の場になってほしいという想いを託されながらに建ったということができます。

しかしながら、国立西洋美術館がそうした「未来の芸術」を産み育てる土壌となりえてきたのかどうかは、これまで問われていません。(公式サイトより)

展覧会の感想(ごちゃごちゃ)

昨年10月、キュビスム展に行った時、2024年にこのような企画展が開催されるということを知りました。思い切ったことをするな~!とその時も思いましたが、想像以上にかなり思い切った展覧会でした。

挑戦的で批判的、観客にわかりやすく説明しようとするつもりはおそらくない。この展覧会は国立西洋美術館のためのものであり、一般人に開かれたものではないなと強く感じました。

国立西洋美術館はその名の通り、西洋美術を取り扱う美術館です。これまでの歴史の中で現代美術を取り扱ったことはなく今回が初めてとのこと。未来のことはわかりませんがおそらく…今回が最初で最後になるのでは?という気がしました。

この展覧会がどのような内容になるのか、全然予想できませんでした。蓋を開けてみると「国立西洋美術館」を考えるための展覧会で、「美術」を鑑賞する展覧会ではありませんでした。

そういった意味で、国立西洋美術館そのものにそこまですごく興味があるわけではない私は、この展覧会をどういう気持ちで鑑賞すれば良いのかちょっとわからなかった…というのが正直な感想です。

国立西洋美術館は好きです。私の印象としては「本物を見せてくれる美術館」です。ゴッホのひまわりを初めて観たのもここでした。ほかにもいろんな名画をここで観てきました。貴重な体験をここで何度もしています。

ですが、国立西洋美術館の成り立ちに興味があるかと言われるとそんなに…なんですよね。松方コレクション、はい…少し知ってます、くらいの感じ。

この展覧会の副題は「国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」となっています。ここが重要なんですよね多分。

問いに溢れる展覧会でした。国立西洋美術館とは何か、誰のためにあるのか、これからどうなっていくのか。

こういった問いかけについてあれこれ考えるのは私も好きですが、今回これらの問いについて考えるのは21組のアーティストです。彼らは思い思いに考え、思いのまま作品として自分の考えを放出しています。中には理解不能な作品もありました。何が言いたいのかわからない…。それここでやる必要ありますか…?という。

それはそれで現代アートの展覧会にはよくあることだと思うので良いのですが、この展覧会はテーマが広すぎるというか漠然としているような感じもして、あまりにもアーティストたちが自由すぎると言えば良いのでしょうか…まとまりが全然なくて国立西洋美術館という軸があるはずですが展覧会全体を見るとすごく散らかっているような感じがしました。

私の理解が追い付かなかったというだけの可能性もあるし、多分私はテーマがはっきりした展覧会の方が好きなんだと思います。アーティストの立場である人が観るとまた違うのかもしれませんが私はただ美術館が好きなだけの一般人。国立西洋美術館の自問自答に付き合わされて疲れた…。自分から赴いておいて酷い言い草ですがそんな感想も抱いているのです。多くの一般人が置いてけぼりをくらいそうだなと思いました。

ごちゃごちゃと書きましたが、行って良かったとは思っています。一番良かったと思ったのは弓指寛治氏の作品エリアでした。

国立西洋美術館が上野公園という場所にあることに注目した上での作品群。この展覧会で展示されなければ意味がない、それを一番感じさせてくれました。ひとつの物語に触れた後のような不思議な感覚。上野とは…美術館とは…。国立西洋美術館以外の美術館で同じ配置で展示しても全く意味がないと思うので、この展覧会が終わったあとここにある作品はどこへ行くんだろう…と余計なことを考えてしまいました。なんというか、生きた空気を一番感じました。

まとめのような何か

自分は何を期待して美術館に行くんだろうということを考えた時、私の場合は美術館に非日常を求めているような気がしました。日常から離れた世界に入り込んでその空気を楽しむ。国立西洋美術館はまさにそうです。静かで厳かな雰囲気があってTHE・美術館!という場所。

国立西洋美術館はそうであってほしい、と思っているのかもしれません。今回の挑戦的すぎる企画は嫌いではないですがまた同じような展覧会があったとして行きたいかと問われたら今回限りでいいです…と言うと思います。

私はアーティストではなく、アートを鑑賞するのが好きな人間です。美術館という空間が好きです。「美術館」という施設は金、権力、政治、思想などが複雑に絡んだ場所であることはわかっているつもりです。しかし現代に生きている美術館は、アーティストだけでなくすべての人に開かれていてほしいと思います。

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ|国立西洋美術館

 

国立西洋美術館 他の展覧会感想

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