ユキシロ日記

ゲームのプレイ日記をメインに、博物館、美術館、音楽など。雑多な趣味ブログです。

私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために/森美術館/2023.11

産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われています。この地球規模の環境危機は、諸工業先進国それぞれに特有かつ無数の事象や状況に端を発しているのではないか。本展はその問いから構想されました。

本展のタイトル「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」は、私たちとは誰か、地球環境は誰のものなのか、という問いかけです。本展では、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えることを提案します。(公式サイトより)

展覧会感想

私は森美術館を意識の高い美術館だと思っている(もちろん主観)ので、今回のテーマはこの美術館らしいな~と思いました。

相変わらず難解で、しかもわかりやすく説明しようとする意思があまり感じられない解説文の数々、そういうところもこの美術館らしさを感じます。よほどテーマに興味があるか森美術館が好きで仕方ないくらいの人でない限り、今回の展覧会を楽しむのはなかなか難しい気がしました。

(ニナ・カネル 「マッスル・メモリー(5トン)」 作家所蔵)

大きなテーマは「環境問題」で、アートを絡めてそれらについて考えることを促す…というのがこの展覧会だと思うのですが、正直な感想としてはとても難しかったですね…!

全体を通して教科書的(しかも小学校の教科書ではなく大学の教科書…みたいな)というか、アートを鑑賞するというより勉強をするといったような、そんな空気が漂っていたように思います。

(↑サスティナブルを意識した試みということで、前回の展覧会の壁パネルをそのまま使っている場所もありこれは面白いなと思いました。)

現代アートはそのような傾向がひときわ強い気がしますが、メッセージ性が強いものが多いんですよね。メッセージの方向性は作者によって様々ですが、今回の展示作品は展覧会テーマがテーマなのでどれも強めの意思を感じました。アート作家であり環境活動家、というような肩書を持つ人も多く、今回私が「アーティスト」の作品を鑑賞しているという感覚にあまりなれなかったのはこういう理由もあったのかもなぁ…と思っています。

森美術館は六本木ヒルズ森タワーの53階にあります。展示室の一部はこんな感じで外が見えるようになっていて、毎回この部屋がどう使われるか見るのが密かな楽しみだったりします。

展覧会名やサイトのメッセージから伝わってくるこの展覧会の狙い「考えることを促す」は、展示作品のメッセージが複雑で難しすぎる(一朝一夕で答えが出るようなことではない深い問い多数)と感じたためあまりピンとこなかったというのが正直な感想ですが、会場を歩いていて「自分とは何なんだろう」とはちょっと考えました。

私にとって六本木はキラキラというよりギラギラしたイメージのある街です。アートイベントも多くお洒落で素敵な街ですが、良い意味でも嫌な意味でも欲望が見えるというか…そんなイメージもあります。

上の写真にある大きな窓からガラス越しに六本木を中心とした東京の夜景を見下ろしている時、綺麗だなぁと思うと同時に、今エコロジーがテーマの展覧会会場にいるんだよなぁ…と不思議な気分になりました。

(モニラ・アルカディリ 「恨み言」 作家所蔵)

この作品が一番印象に残りました。映像作品も多い展覧会でしたが、私は映像だけの作品よりこんな風に物理的に「何か」があって空間ごと作品です、みたいな作品が好きだなと思いました。

人間の自然への介入と搾取、人間と自然の共存についてメッセージを投げかける作品…とのことです。この作品は「音声」があるのですが、その音声がいい感じに鑑賞者の脳をかき乱してくる感じで、これくらい直球に問いを投げてくれる作品はわかりやすくて良いなと思いました。(ほかは理解が難しい作品が多くて…)

六本木の夜を歩く(おまけ)

労働でストレスがたまり、あ~美術館行きたい!!!現実逃避をさせてくれ!!!!と思ってその日のお昼休憩中に行くことを決め、来週の自分にすべてを委ねて定時でそそくさと職場を去り、その足で森美術館に行きました。(今の職場はこういうことができる場所にあってありがたいです。非常に贅沢なことだと思っています)

六本木はクリスマスになっていました。そういえばもうあと1か月くらいなんですね。前でも少し書きましたが、こんなにギラギラした街にある美術館が取り扱うテーマが環境問題というのもなかなか…少し皮肉めいていて面白いな…とちょっと思いました。

週末の夜、職場からそのまま美術館に行くという贅沢をした後、何を思ったのかお酒を飲みたい気分になり(滅多にない)、お洒落なお店に入ってサングリアをいただきました。

お腹もすいていたので食事もここでしたのですが、会計時にテーブルチャージ料が2人分入っていてびっくりしました。想定より1000円以上多い金額を震えながら払ってお店を後にしました。

六本木はアートに力を入れていて美術館がたくさんあって好きですが、何度行っても私の身の丈には合わない街だなとつくづく思います。しばらくモヤシを食べる生活になりそうです。

森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために | 森美術館 - MORI ART MUSEUM

 

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