ユキシロ日記

博物館、美術館、音楽、ゲーム等の感想、その他書きたいことを書くことにしています

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未来と芸術展/森美術館/2019.12

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未来を考える現代の展覧会

森美術館はこれに限らず、未来を見据えたテーマや時代の先端を走るアーティストを取り上げたりしているイメージがあるのですが、この展覧会はまさにその集合体のような気がしました。「未来と芸術」というサッパリとしたタイトルに付けられているサブタイトル(?)は「AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」です。この時点で超ボリュームであることがわかります。実際とんでもないボリュームでした。3時間くらいはいたと思うのですが時間が足りず、最後駆け足になってしまったことがとても悔やまれます。初めてではないのに森美術館ってこんなに広かったかな…?と思いました。そう、広いんですこの美術館。

行ってから数か月経ってしまい細かい部分が記憶から抜け落ちているので、公式サイトを見ながら書いています。その時は色んなことを考えていた気がするんですけどね~やっぱり時間が経つと忘れてしまいますね…。

さて早速サイトから引っ張ってきますが「これからのライフスタイルや近未来の人間像を考察するための展覧会」と書かれています。この展覧会、あまりにも内容が濃くてテーマも多岐にわたっていたので、一言でどんな感じだったか説明するのが難しいのですが、この公式の文で十分なのかもしれません。たくさんのアーティストの作品が展示されている展覧会ではあるのですが、 観客が自分の頭で「考えること」を推奨しているような空気をヒシヒシと感じ、四方八方から色んな問いかけが降ってくるような展覧会でした。軽い気持ちで行くと脳が疲れるかもしれないと思うくらい。

すぐそこまで来ている未来

未来と一言で言っても様々です。明日も未来、100年後も未来。ですが、この展覧会で取り上げられている未来は数十年後くらいの絶妙な未来だったように思います。新しい都市の形、未来の資源や食べ物、ロボットやAI、ただの想像とするにはあまりにもリアルでいつかこんな世界がやってくるんだろうな…と思えるような光景が広がっていました。技術の進歩について私はよくわかっていないのですが、わかっていない(自ら知ろうとしていない)だけで実際にはもうすぐ側まで来ているんだなと思いました。漫画や映画で描かれていた世界はすぐそこにあるようです。見えていないだけで。

印象的な展示物はたくさんありましたがその中からいくつか。

まずはペットロボットのAIBO。あのアイボです。私が知っているAIBOはもっとカクカクしていたような気がしたのですが最新のAIBOは丸みを帯びているし動きや仕草は子犬のそれだしかなり進化していて驚きました。普通に可愛いです。触ってみようコーナーのようなものがあったのですがみんな触ったり撫でたりしていました。きっと今後もっと進化して本物の犬に近付くのだと思います。そうなった時に人間は本物の犬を飼う必要があるのでしょうか…。ロボットなら餌はいりません。散歩に行く必要もなく噛んだりもしません。それでも人は生きた犬を飼おうとするのか…。生き物とロボットの境界線がわかりづらい未来…人間はどうなっているのか…そんなことを考えました。 

長くなりそうなので次。人間の似顔絵を描くロボットがいました。モデルとなり椅子に座っている人間をロボットがデッサンしている様子がひとつの展示物として展開されています。完成したスケッチがいくつも壁に飾られていたのですが、ひとつとして同じ人間はいませんでした。ロボットが人間の個性をしっかり描き分けているということです。また、即興音楽を奏でるシンセサイザーがあったり、AIによって生み出されたデザインを人間が組み立てて形にした作品があったりもしました。もはや人間ができることはロボットにもできるんだ…と思いました。こうなってくると今度は芸術とは何かというところまでテーマを飛ばすことができる気がします。人間が生み出した作品とロボットが生み出した作品、言われなければわからないのではないかと思います。だったら人間が芸術を生み出す意味とは…。

哲学や倫理学を思わせる内容

このほかにもインパクト大の展示物で溢れていました。解説文もパンチが強く、展覧会で解説文を読むのが好きな私としては読みごたえがありすぎる文章の数々に大満足でした。脳がちょっと疲れました。こういうところの解説文はマニアックなことが熱く語られていたり、こちらに問いを投げかけてきていたりと面白いのです。意味深な作品を見てよくわからなくなり解説文を読んでさらに混乱したりするのも楽しいかもしれません。

全体を通して頭を回転させられているような感覚になる展覧会でした。私は大学で哲学専攻だったのですが、そこでは倫理学も学んでいました。もう何年も前ですがその頃の哲学や倫理学の講義を思い出すような、そんな展覧会でした。人間とは何か、人間はどうするべきか、という問いを淡々と次々ぶつけてきます。美術館の企画でこのような感覚を思い出す日が来るとは…。やっぱり芸術の分野も哲学的な要素を含んでいるんだなと再認識しました。大学では美学というジャンル?の講義も少し受けていました。この辺ってみんな繋がっているんですよね。答えのない世界です。しかし答えのある物事なんて世の中には少ししかありません。人それぞれ答えは違います。だから面白いのです。

せっかく人間に生まれたのだから、考えることをたくさんしていきたいなと私は思っています。思いを巡らせ考えること…それはロボットやAIにはない人間だからできることのような気がします。そんなことを考えさせてくれた展覧会、本当に行って良かったと思います。なんとなくとっつきにくい(というか意味がよくわからない)感じがするポスターをもうちょっと別の展示物にした方が人が来るのでは…と勝手なことを思ったりもしています。この美術館、あまり宣伝が得意ではないような気が…。

ちなみにこの展覧会のタイトルもAIが決めたのだそうです。行った後の感覚だと「未来と芸術とSFと哲学と倫理と人間展」という感じでした。3月末までやっているので少しでも興味がある人は行ってみてほしいです。きっと何かを得て帰ることができると思います。www.mori.art.museum 

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未来と芸術 Future and the Arts

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