ユキシロ日記

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ゴッホ展―響きあう魂 ヘレーネとフィンセント/東京都美術館/2021.09

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今日、世界中で絶大な人気を誇るフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。その世界最大の個人収集家がヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)です。ファン・ゴッホに魅了され、画家がまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年間で、90点を超える油彩画と約180点の素描・版画を収集しました。

本展では、ヘレーネが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションから、選りすぐりのファン・ゴッホの油彩画28点と素描・版画20点を展示します。
(公式サイトより)

収集家とゴッホ

ゴッホ展と名がついた展覧会ではありますが、この展覧会の軸になっているのは個人のゴッホ作品収集家としては世界最大とされるヘレーネ・クレラー=ミュラーです。実業家の夫の協力もあり多数のゴッホ作品を収集した彼女は、長年の夢であった美術館を1938年に開館し、その翌年に亡くなったそうです。

そんな彼女が集めた作品の数々を鑑賞できるのがこの展覧会です。展示構成も最初はゴッホではなくヘレーネの話からスタートします。いつなんの作品を購入したかが一目でわかる年表もありました。ゴッホ以外の画家の作品も展示されていて、ヘレーネという人物がどのような絵画に惹かれて購入していたかといった彼女の人物像に焦点をあてた解説文もあって面白かったです。

野暮な話になりますが、絵画を収集するのはお金が必要で、ほとんどの場合一般人には無理だと思います。ヘレーネのようなお金のある人たちがこうして絵画に価値を見出し、後世に残すために尽力してくれたことは本当にありがたいことだと思いました。

現代を生きる私たちがゴッホの作品に触れることができるのは、こういう人たちのおかげでもあるんだとしみじみ思いました。

ゴッホの歴史

私はゴッホだけでなく西洋美術もほかの美術も、たいした知識は持っていません。今回も色々と新しい学びを得ました。「種まく人」というタイトルの作品はミレーのものだと思っていたのですがゴッホの作品もあるのですね!初めて知りました。太陽が眩しい作品でした。

後半の展示は年代順になっていてわかりやすかったです。ゴッホといえばうねりを感じる描き方かもしれませんが、そのような描き方になる前の作品もたくさん展示されていました。

鉛筆やチョークを使って人物を描いた素描もありましたが、こういう絵を観ることができる機会は珍しい気がしました。時代に合わせて描き方を変えてみたり表現の勉強?をしてみたりと、ゴッホも色々と試行錯誤を繰り返しながら作品を描いていたんだなということがよくわかりました。

思ったこと(夜のプロヴァンスの田舎道)

短くはありましたが、ゴッホがいろんな場所でどのように過ごしてきたかといった説明文もありました。画家になることを決意してから10年ほどの短い画家人生の中で様々なことがあったであろうゴッホ…。画家友達と一緒に共同生活をしようと試みるもうまくいかなかったり、精神を病んで入院したり…最期は自ら拳銃で自殺…(諸説あるそうです)。

年代順の展示ということもあり、鑑賞者である私自身がゴッホの死に向かいながら鑑賞しているような、そんな感覚になりました。この展覧会の目玉になっている「夜のプロヴァンスの田舎道」。自分の目で直に観るこの作品は本当に美しくて素晴らしかったのですが、ゴッホが入院している時に描かれた作品で間違いなく死に向かっている時のもので…なんてことを考えたら猛烈に寂しさが押し寄せてきました。

色使いも綺麗で月や星の描写も凄くて、とても好みの絵だなぁと思ったのですが、それ以上に寂しくて仕方がない…そんな絵でした。こんなに美しい絵が…もうあと何ヶ月かしたら死ぬ人間が描いたものなのか…と。不思議な気持ちになりました。

好きな画家

私は以前から美術館が好きで美術鑑賞も好きなのですが、特別好きな画家というのはいませんでした。しかし、今回ゴッホの作品に触れて心が乱れたというか、すごく深く感じるものがあって、自分はゴッホの作品が好きなのかもしれないと思いました。

以前、国立西洋美術館でやっていた「ロンドンナショナルギャラリー展」に行ったことがあり、そこで初めてゴッホの「ひまわり」を観ました。その時はひまわりの圧倒的なパワーを浴びて感動したのですが、今回の展覧会を経て「夜のプロヴァンスの田舎道」の方が好きだなと思いました。色々観てみないとわからないものですね。

久しぶりの西洋絵画鑑賞、とても良い経験になりました。本来であればオランダに行かなければ観ることができない作品をたくさん観ることができて嬉しいです。これからもたくさん美術作品に触れたいなと思いました。

東京都美術館 他の展覧会感想

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