17世紀オランダを代表する画家ヨハネス・フェルメール(1632-75)の《窓辺で手紙を読む女》は、窓から差し込む光の表現、室内で手紙を読む女性像など、フェルメールが自身のスタイルを確立したといわれる初期の傑作です。
1979年のX線調査で壁面にキューピッドが描かれた画中画が塗り潰されていることが判明、長年、その絵はフェルメール自身が消したと考えられてきました。しかし、その画中画はフェルメールの死後、何者かにより消されていたという最新の調査結果が、2019年に発表されました。
本展では、大規模な修復プロジェクトによってキューピッドの画中画が現れ、フェルメールが描いた当初の姿となった《窓辺で手紙を読む女》を、所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館でのお披露目に次いで公開します。所蔵館以外での公開は、世界初となります。(公式サイトより)
フェルメール展の感想
私はこれまでそれほどフェルメールには興味がなかったのですが、ずっと前からこの展覧会には行きたい思っていて、遂に行ってきました。きっと何か惹かれるものを感じたのだと思います。
ドレスデン国立古典絵画館が所蔵するフェルメールの《窓辺で手紙を読む女》が、この展覧会のメインコンテンツです。が、そのメインが展示の最後にドーンと出てくるのではなく、展示の真ん中あたりで出てきたのは意外でした。
と言ってもこの絵ひとつに対して広い展示室を贅沢に使っている感はすごくあって、人だかりはできていますが観賞中そこまで苦痛を感じることはありませんでした。至近距離、5歩くらい離れたところから、もっと遠くから、いろんな場所から堪能できて良かったです。
長年かけて修復されたというこの絵画がこれまでどういう経緯を辿って今ここにあるのかわかるような年表があったり、修復中の映像があったり、メインコンテンツというだけあって丁寧に説明されている点も良かったと思います。
本物の絵とは…
公式サイトの見どころページがわかりやすいのですが、修復前と修復後で印象が違いすぎてびっくりです。全然違う絵画と言っても過言ではない…。私は元々この絵画のことを全然知らなったので何とも言えませんが、例えば昔からフェルメールが大好きな人がいたとして、これまで《窓辺で手紙を読む女》はこういう絵だと思っていたのに実は違った、しかも本人以外がこの絵に手を加えたんだ、と知ったらどういう気持ちになるのか…。凄いことですよねいろんな意味で。
《窓辺で手紙を読む女》修復プロジェクト|ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展 (dresden-vermeer.jp)
こういうこと(実は違った…みたいな)って結構あるのかもしれません。私たちが見ているものは本当の姿ではないかもしれないという…。この絵画も最初はフェルメールの作品ではなく、当時既に大人気だったレンブラントの作品とされていたそうです。本人以外が本人の死後に上塗りしたキューピッドの部分、誰がなんのためにやったかはまだわかっていないということでしたが、もしかしたらレンブラント風に見せるためにやったのかも…と解説に書かれていました。誰の作品であるかよりも人気や名声の方が大事だったのか…?なんてこと思うと色々考えさせられます。絵画の歴史は面白いですね…!
おまけ
東京都美術館は特別展だけでなく公募展や学校教育展というものを常にたくさん開催していて、フェルメールだけでなくこれらも時間が許す限り見てきました!先日行ったメトロポリタン美術館展に続いてここでもいろんな卒業制作を見ることができて面白かったです。いろんなところでいろんな活動をしている人がいるんだなぁとしみじみ。
ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展 (dresden-vermeer.jp)
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