スウェーデン、ドイツ、日本を舞台に展開したこのプロジェクトは、とてもユニークなプロセスで成り立っています。山野が18人の画家それぞれに声をかけ、画家自身が描きたいと思うガラスを言葉で表現してもらい、その言葉に応答して山野がガラスを吹きます。できあがったガラスを画家が静物画に描き、写真家・三部正博が画家のアトリエを訪れて絵画とガラスの写真を撮影し、デザイナー・須山悠里がアートブックのかたちにしました。(公式サイトより)
行って観るまでどのような展覧会か掴めていなかったのですが、会場の空間や作品の見せ方がとても好きでした。私の2024年最初の展覧会、ここにして良かったです!
感想の前に(余談)
私は定期的に今(これから)どんな展覧会が開催されているかチェックしています。大きな美術館や博物館がやる大きな展覧会はたくさん宣伝されるので向こうから情報が入ってくることも多いですが、小規模な展覧会はこちらから探しに行かないと存在を知ることができないんですよね…。
この展覧会もそのタイプでした。まず展覧会名に惹かれました。静物画が好きというのもありますが、どうやらそれだけではないようでした。何か私が好きそうな予感がした(なんとなくわかる)のと、この施設に行くのは初めてだったので今が行く時!と思い行ってきました。
東京オペラシティの最寄り駅は初台駅です。新宿から一駅なので歩けるだろうと軽く考えてそのようにしたところ、思ったより時間がかかりました。新宿駅内で迷子になったので余計な時間がかかったんだと思います。何度も行っているのに何故かいつも迷子になります。不思議です。迷子にならなければ20分くらいだったと思います。帰りは電車に乗りました。
展覧会の感想
本展では、このプロジェクトで生まれた、宙吹きならではのわずかな歪みが美しいクリアーガラスの器、画家たちによる親密な絵画、浮遊感をたたえたモノクロームの写真、山野のアトリエでガラスが生まれる瞬間を撮影した映像作品が並びます。また、所々に配されたガラスや画家にまつわる言葉は、山野がこのプロジェクトを振り返ってエッセイにまとめたときに紡いだものです。
これは言葉によるコミュニケーションを介在したプロジェクトの痕跡であり、ガラスと絵画と写真にまつわるストーリー思考する一助となるでしょう。(公式サイトより)
公式サイトに書かれている通り、この展覧会はひとつのプロジェクトから生まれています。
(山野アンダーソン陽子 「Stem for Pink for Saiko Kimura」 木村彩子所蔵)
①ガラス作家(山野アンダーソン陽子氏)が画家に声をかけ、画家は自分が描きたいと思うガラスを言葉で伝える→②その言葉を元にガラス作品が出来上がる→③出来上がったガラス作品を画家が静物画として描く→④写真家(三部正博氏)が撮影する→⑤それらをまとめてアートブックを作る(須山悠里氏)
このような流れのプロジェクトで、その内②~④の部分を観ることができる展覧会でした。
ガラスと絵と写真が展示されている空間は天井が高く開放的で、同じ空間にいろんなジャンルの作品が混在しています。
(木村彩子 「Stem for Pink / 7 May」 作家所蔵)
同じ対象物(ここで言うガラス作品)がいろんな表現方法で同じ空間に存在している。それは不思議な空間でとても心地の良い空間でもありました。ガラスも静物画も写真も全然違う作品ですが、そのどこかにポツンと共通点がある。これがとても面白く新鮮に感じました。
(三部正博 「木村彩子のアトリエに佇むガラス食器」 作家所蔵)
この展覧会は作品解説パネルのようなものがなく、ところどころに山野アンダーソン陽子氏のエッセイから抜き出された言葉が並んでいます。それがまた良くてですね…!素敵な言葉の表現をする人だなぁと思いました。
いろんな芸術が絡み合った良い雰囲気の展覧会、無理やり一言でまとめようとするとこんな感じでした。作品だけでなく会場の雰囲気も含めて楽しめる展覧会が私は好きです。
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