南米コロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ(1932~)。1950年代後半から欧米で高く評価され、今日では現代を代表する美術家のひとりに数えられています。
ボテロ作品を特徴づけているのは、あらゆるかたちがふくらんでいるということ。彼のモチーフは、人物も動物もふくよかで、果物は熟れきっているかのように膨らみ、楽器や日用品さえも膨張しています。ボリュームを与えられた対象には、官能、ユーモアやアイロニーなど複雑な意味合いが含まれ、観る人のさまざまな感覚に力強く訴えかけます。(公式サイトより)
ボテロ…知りませんでした。しかし一度見たら一生忘れないようなインパクトのある作品たち…これは生で観てみたい!ということで始まる前から気になっていた展覧会に行ってきました。
「ふくよかな魔法」という素敵なサブタイトルが付いています。良いですね~。「ふくよか」という言葉がそもそも良いですよね。やわらかくて安心感のある言葉だと思います。
ボテロの作品はみんな「ふくよか」です。人物はもちろん、果物や楽器もふくよか。触ったら柔らかいんだろうなと思わせてくれる対象の描き方は独特で個性的でほかに類を見ないようなものでした。私はこんなに柔らかみのある静物画は初めて見ました。オレンジや梨がまるまると膨れていて今にも果汁が飛び出してきそうでした。静物画ってこういうのもアリなんですね。すごく好きです。
そして人物を描いた作品も強烈なインパクトでした。ユーモアや皮肉の要素も入っていて面白いというのもありますが、なんでもふくよかに描いているかと思えばある一点は異様に小さく目立たないように描かれている…みたいな表現もあって、個人個人で異なる解釈が楽しめそうな作品も多かったと思います。
ふくよかさとは関係ないかもしれませんが全体的に色合いも好きでした。元気になるようなカラーが溢れていました。青背景の中に青い花があったり赤背景の中に赤い花があったり、色の使い方がはっきりしていて迷いのない感じ、パワーがありました。
一部撮影OKなコーナーがあります。写真ではお伝えしづらいのですが、ひとつひとつの絵がでかいんです。ふくよか以前に絵のサイズがビッグなんです!大きな作品を間近で観られるのは展覧会の醍醐味。存分に味わってきました。
こちら「モナ・リザの横顔」は2020年の作品とのことです。現在も精力的に活動を続けているというボテロ、会場では彼を紹介するムービーが流れていましたが、今回の展覧会で来日しなかった作品の中にも私が好きそうなものがたくさんあったので、いつか他作品も観てみたいなと思いました。
それにしてもアートって良いですね。何を表現するのも自由、内にあるものをなんらかの形として外に出す。同じものを表現しようとしても人により異なる、そんなところもアートの面白さだと思います。
全く知らなかったボテロという作家を知ることができて良かったです。芸術鑑賞の面白さも再発見できた気がします。
会場の外には特別展示としてボテロ作の彫刻が展示してありました。ふくよかむっちりがっちりボディな鳥ですね。タイトルは「小さな鳥」。小さいってなんだっけ…?いや…この鳥は小さいのかもしれない。私が勝手に鳥は小さいものだと思い込んでいるだけなのかもしれない。足のたくましさがとてもよい。
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