『ファミレスを享受せよ』は、永遠のファミレス『ムーンパレス』に迷い込むアドベンチャーゲーム。なんとドリンクバーもあります。(販売ページより)
ゲーム実況動画きっかけで知ったゲームです。4名ほどの実況動画を見た後、自分でもやりたい!と思いSwitch版を購入しました。
私は既にどういうゲームか知っている状態でやりましたが、これからやる人は何も知らない状態で始めた方がこのゲームの世界をより享受できると思うので、ネタバレになりそうなことには触れず、ぼんやりとした感想を書いていこうと思います。
色
まず、このゲームの「色」が大好きです。販売ページ等を見るだけでもわかると思いますが、使われている色がとても少ないんです。黒をベースに、光は黄色、影は青。少しの濃淡はありますがほぼこれだけ。
研ぎ澄まされた美を感じる色使い…まるで美術館で絵画を観ているような…そんな気持ちになりました。画面上に黒が多いのも落ち着いていて良いですよね。画面いっぱいに絵があるのではなく中央にしか絵がなくて、周りは真っ黒なんですよ。そこがまた良い…。元々、黒の中にある黄色が大好きです。夜と月の色。静かで美しくて癒される色。
音楽(BGM)
最高でした。好きすぎる。ゆったりとして穏やかですがどこか寂しげな曲が多く、そのすべてがこの「月が見える永遠のファミレス」と完璧にマッチしていました。ファミコンのゲームのような音のチープさがたまらない。このゲームの音楽にオーケストラはきっと合わない。色と同じく、数が少ない方が良い。そう思いました。
曲そのものが良いのはもちろん、曲の使われ方も良かったですね~。ずっと音楽が流れているわけではなく無音のシーンもあります。だからこそ音楽のある時とない時に差が生まれて心が動くんだと思います。
ファミレスを享受せよ BGM ←公式で公開されているBGM集
ファミレスを享受せよ ピアノBGM3つ ←こちらも公式BGM集(ピアノバージョン!)
このピアノバージョンをプレイ後に聴いた時、あまりにも良すぎてちょっと泣きました。音楽を聴いて涙することができる贅沢…ありがとうございます…このゲームと出会えて良かった。
音(SE)
ほぼ文章を読んでいくゲームですが、ゲームなので自分で動かす部分がもちろんあります。登場人物たちとの会話ネタを選ぶ時のSEが「ガラスのコップを爪でツンとした時の音」で、とてもお洒落で印象的で良いな~と思いました。
ファミレスを感じさせてくれる要素でもある…のかもしれません。そう、ここにはドリンクバーがあるのです。
物語と会話
登場人物の「物語」や「会話」を楽しむゲームだと思うので、この部分に関しては何を言ってもネタバレになりそうで何も書けず…。しかし、とても私好みの物語でした!ということだけは言っておきたいです!
全体的に静かなゲームで、それはストーリーも同様。大きな事件が起こるとか、感動スペクタクルとか、そういう感じではなく淡々と進んでいきます。ですがそこが良い。静かで余計なことは語らない。余韻と間が絶妙なんです。
終わり方も大好きでした。こちらに想像の余地を残してくれて、いくらでも思考を巡らせることができるような…そんな終わり方。後味が悪いという意味ではなく、ほんのり温かい気持ちになるような…そんな感じです。ネタバレなし感想難しいな…。
ゲームを進めるため登場人物に話題を振っていくのですが、主人公と登場人物たちによるあってもなくても良いような他愛のない会話がどんどん愛おしくなってきます。意味のない会話があっても良いしそれらは無駄ではない、そんな気持ちになることができました。
時
「時」を感じさせてくれるゲームでもありました。永遠のファミレス「ムーンパレス」がこのゲームの舞台で、そこにいる人たちは終わらない時を過ごしています。ここから出ることはできない、時間だけがただただ過ぎていく。死ぬこともできない。
途中プレイヤーにその時間の長さを実感させてくれる演出があって、上手いな~良いな~と思いました。ゲームをやる時間が足りなすぎて日々時間がないない言っている私と違い、ムーンパレスにいる人たちは達観しているように見えます。時間とは、限りがあるから良いのでしょうか。永遠の時を過ごすことになったら…自分はどうするだろう。ムーンパレスを歩きながら、そんなことをぼんやりと考えるのも悪くないかもしれません。
月
月が印象的なゲームでもありました。私は月が大好きです。あまり自覚はしていませんでしたが、よく考えてみると昔から月に惹かれていたような気がします。
ゴッホの描く月が大好きで、ドビュッシーの月の光が大好きで、ほかにも月にまつわるものに、なんらかの神秘性を感じているというか…良いですよね月って。
夜に輝くというのも良いですね。このゲーム、とても夜が似合います。人がポツポツとしかいない深夜のファミレス、自分以外は寝静まって音の少ない部屋、そういう空気を持ったゲームでした。
雰囲気
普段はがつがつ使っている気がしますが、今回意図的に頑張って「雰囲気が良い」というワードは使わなようにしました。それを言ってしまったら、このゲームの感想はその一言で終わってしまい非常にもったいないと思ったからです。
私はこのゲームはひとつの芸術作品だと思いました。
どこまで伝えられているかはわかりませんが、魅力的な要素がたくさんある素晴らしいゲームでした。実は無料でもできるゲームなのですが、有料版はクリア後特典も用意されています。このゲームの世界を好きになった人なら絶対に気に入る特典だと思うので、気になった方は有料版を買ってやってみてほしいなと思います。
月の綺麗な夜に。
ファミレスを享受せよ | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
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