
ジャンルも時代も自在に横断するピアニスト・角野隼斗が挑むのは、国内最大級の音楽専用アリーナ「Kアリーナ横浜」――ここで行われる初のクラシック公演だ。
舞台演出を手がけるのは、メディアアートの先端を走り続ける真鍋大度(Studio Daito Manabe、Rhizomatiks)。
鍵盤から放たれる一音一音が光と映像を呼び覚まし、バッハやベートーヴェンの名曲に新しい息吹を宿す。音が形をまとい、光が旋律を語り、空間が響きのキャンバスに変わる。
――ピアノコンサート史上初のスケールで繰り広げられる、一夜限りの没入体験。(イープラスのコンサートページより)
前置き
どうやら私、角野さんのピアノリサイタルを聴きに行くのは約3年ぶりらしいですよ!直近が2023年の全国ツアーで、今回も久しぶりだな~とは思っていたのですがそんなに経っていましたか…!
気付けば角野さんは拠点をアメリカに移し30歳を超え、横浜には知らないコンサート施設ができていました。
30歳という年齢は世間的に見てもまだまだ若い方だとは思いますが、5年前くらいの新進気鋭の若手ピアニスト!という雰囲気はすっかり消えたような気がしました。たくさんの経験による含蓄が…なんて言うのはちょっと違うかもしれませんが、若手と呼ばれるステージの先に行ったんだな、と思いました。
リサイタルの感想(主に演出)
ピアノの音を聴くだけでなく、視覚的な演出にも力が入れられたリサイタルでした。Kアリーナという会場を活かしたこの場ならではの…!という感じ。
舞台後ろに設置されたすさまじく大きなモニター(?)には、角野さんの演奏に反応した光や映像が映し出されていました。ピアノリサイタルというと「音」だけに集中することが多いと思いますが、今回のリサイタルは常に動きのある光や映像が視界に入っているので、集中力が試される場だったと言えるかもしれません。
映し出される映像は演奏曲によって様々でしたが、全体を通して、抽象絵画のようだったなと思いました。動く抽象絵画。モンドリアンか…カンディンスキーか…。はたまた角野さんが口に出していたように音ゲーの画面か…。
カプースチンの曲の演出は確かに音ゲーっぽい!と思いました。記号が角野さんの演奏に合わせて動いている…そんな風に感じるシーンも多々あったので、音楽とは記号なのかも…とも思いました。
ピアノリサイタルの演出としては多分かなり珍しい部類なのではないかと思います。証明の色の雰囲気など、私がその曲に抱く印象とは違うな…と思った部分もあったのですが、ひとつの曲を聴いて抱くイメージなど人によって違うのは当たり前なので、これが角野さんの考えるこの曲の解釈か~なんてことを考えながら聴いていました。
最後の演目「死の舞踏」の時に映像がなかった(照明演出はあった)のは意図してのこと…ですよねきっと。自分の脳内であれこえ考えるのも楽しいリサイタルでしたが、どういった意図でその演出になったのか…という部分も気になるリサイタルでした。
視覚で得られる情報の強さを感じると共に、音と映像に包まれる大きな会場とたくさんの人がいるあの空間を、思う存分楽しむことができたと思います。
リサイタルの感想(主に演奏)
「角野隼斗 ピアノリサイタル “Klassik Arena” supported by ロート製薬」配布プログラム公開 | 角野隼斗 Hayato Sumino Official Website
久しぶりの角野さんの生演奏はやはり最高でした。すっかり情報を追わなくなっている身でこんなことを言うのもあれですが、角野さんの演奏、これだよこれ!みたいな感覚になりました。
まず、「Human Universe」の生演奏が聴けて嬉しかったです!本当にかっこよかった!!!この曲の演出は宇宙空間のようでしたね。良い空間でした。
今回のリサイタルで抽象絵画との親和性が高そうなことにも気付いたバッハとカプースチンの曲、すごく速いテンポなのに全部の音がしっかり聞こえてくる「月光」や「水の戯れ」、鬼気迫るような「死の舞踏」。どれも素晴らしかったです。
演出と共に記憶に残っているのはペルトの「アリーナに」という曲。全く知らない曲でしたが、ドラマチックな展開と落ち着いた映像がすごく合っているように思えて癒されました。
そしてこちらも全く知らなかったプリペアド・ピアノという不思議な楽器を使用した演奏。これも良かったですね~。どこからその音鳴ってるんだろう…と不思議に思うような奇妙な(ホラーゲームで使われそうな音だなと思いました)音が角野さんの演奏と見事にマッチ。世の中には面白いものがたくさんあることを知りました。
アンコールで披露してくれた「きらきら星変奏曲」。まさにこの会場にピッタリでしたね!機材を通さないピアノ生音を聴かせてくれたことも嬉しかったです。
その他、おまけのような何か
角野さんトーク慣れてきたな…と思いました。いつか今以上にこなれた感じで喋りだしたらどうしよう…ペラペラ喋る角野さんになってしまったらどうしよう…!!
というのはいいとして、今回の角野さんのトークはなんというか、角野さん最近何かありましたか?
感慨深げに喋っているような、今ここにいることを噛みしめるような…そんな感じでしたよね。最初に「お元気でしたか?」と言い出した時はびっくりしました。まるで久しぶりに会った人と再会した時のような挨拶じゃないですか…!私自身が角野さんのリサイタル久しぶりということもあって自分に話しかけられたかと思いましたよ!!(※コンサートやライブに行った者特有のご機嫌な勘違い)
最近は海外での活躍もめざましく、コンサートの予定すごいな…と公式ホームページをさっき見て思ったのですが、本人的にも日本で演奏するのは久しぶり…みたいな感覚だったとか…?全く日本にいないわけではないのでそんなことはないか…。
世界がどんどん変わっていっても自分はここ(ピアノの前)にいます、みたいなことも言っていたと思います。世の中の動きが速すぎて生きているだけで疲れる時代でも、変わらないものがあると安心します。そんな「変わらないもの」の中に角野さんの演奏がこれからもあるとしたら…それは素晴らしいことだなと思いました。
次いつ行けるか全然わからない角野さんのピアノリサイタル。ですが、何年経ってもそこにいてピアノを弾いてくれているのなら…また生演奏を聴く機会に恵まれることもきっとがあるだろう、そう思いました。
Hayato Sumino Piano Recital “Klassik Arena” supported by ロート製薬 | 角野隼斗 Hayato Sumino Official Website
過去に行った角野さん関連コンサート感想
角野隼斗 全国ツアー 2023 “Reimagine”/サントリーホール/2023.02
STAND UP! CLASIC FESTIVAL'22/東京芸術劇場、GLOBAL RING THEATRE/2022.11
角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and…”/東京国際フォーラム/2022.02
角野隼斗 オールショパンリサイタル/浜離宮朝日ホール/2021.09
角野隼斗 ピアノリサイタル/サントリーホール/2020.12
世界まるごとクラシック2020/東京国際フォーラム/2020.02
ラフォルジュルネTOKYO2019/国際フォーラムなど/2019.05
------------------------
他コンサートやライブ感想のまとめは【こちら】からどうぞ