ユキシロ日記

ゲームのプレイ日記をメインに、博物館、美術館、音楽など。雑多な趣味ブログです。

NEO PIANO CO. LABO.(ねぴらぼ)と私のこと

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2020年7月24日、NEO PIANO CO. LABO.(ねぴらぼ)が開催されました。ネット環境があればどこからでも見ることができるインターネット配信ライブです。

※↑公式リンクは繋がらなくなったようなのでライブレポートを貼らせていただいております。

出演者は4人のピアニスト。いずれもネットでの活躍実績(youtube登録者数も凄い)があり「ネット配信で注目を集める4人のピアニストが融合!」と公式に書かれている通り今まさに輝いている4人です。

私も数年前からネットでピアノ動画や配信を聴くことがひとつの趣味になっている身なので、彼らのことはこのライブ以前から全員知っていて、それぞれが凄いピアニストであることも既に知っていました。特にござさんに関しては後述しますが、この世界を知るきっかけとなった人です。そんな4人のライブ、ちょっと遅れましたが全部視聴したので感想を書いてみたいと思います。

ライブの感想(個別)

生で見たかった!という誰もが抱くであろう感想が第一声です。画面越しでも楽しかったし素晴らしいライブだったと思いますが、その場にいたら100倍良かっただろうなということが容易に想像できる、そんな熱い空気を感じるライブでした。

いい機会なのでお一人ずつ、少しずつですが語らせていただきます。

~菊池亮太さん~ 菊池亮太 - YouTube

彼のストリートピアノ動画だけ見ると暴れているような感じがするかもしれませんが(笑)、曲やその場に合わせて様々な弾き方ができる器用な人だと思っています。
今回も空気を読んでいるなぁとすごく感じました。ソロやアドリブでは色を出してきますが他と合わせる時は出過ぎない、さすがです。この4人の中ではbarの雰囲気を一番出せる人だなと思っています。雰囲気作りも最高に上手くて音が心地良いんです。ノクターンが時に好きでした。

~ござさん~ ござ / Goza's Piano Channel - YouTube

ござさんを知ってから今までずっと、彼のことはとんでもないピアニストだと思っています。舞台に立つことに慣れている他3人と比べてござさんはこういった場は多分初めてだったはずです。
歓声や拍手はないもののスポットライトを浴びた気持ちはどうでしたか?
踊るような音、(それが努力の末にあるものだとわかってはいますが)自由自在に見える指の動き、配信時と全く変わらないものがあったと思います。

~かてぃんさん~ Cateen かてぃん - YouTube

音の粒の響きがとても綺麗なかてぃんさん。ご本人もそれを意識していると何かで語っていたと思いますが、クラシカルなオリジナル曲、情熱的なon fire。毛色の違う2曲を華麗に弾く姿はどちらもやはり格好良くて、音に色が付いているような、そんな感覚になりました。on fireはとても好きな曲なので、これを選んでくれたことが嬉しかったです。このライブにピッタリな選曲だったと思います。

~けいちゃんさん~ けいちゃん - YouTube

(敬称を付けずにはいられない)。恥ずかしながらこの4人の中では一番よく知らない人でした。ピアノを弾いている姿をがっつりしっかり見たのは初めてでしたが、この人持ってる…!と思いました。
演奏技術はもちろん、見せ方、演出、全てが彼の世界でした。世界を構築できるアーティストは強いです。「動き出すラボラトリー」は特に好みでした。こういう場でオリジナルを2曲弾くところが既に強い。人前に出る時に自信が見える人は好きです。輝いていました。

ライブの感想(全体)

~全体を通して~

本番一週間前にリハーサル配信があったのですが、そこで聴いたSummer Rain、この時より本番の方が数倍良かったです。やはり本番というものには何か力があるのではないかと思います。
熱くてノリノリなイメージが強い情熱大陸、アレンジがすごく良くて4人が混ざり合っている感じがしました。そして何かから解放されたようなスペイン、この曲だけで1時間くらい聴いていたいくらい、聴いていて気持ちが良かったです。(今となっては中の人が割れている着ぐるみ2匹まですごく楽しそうで笑いました。あまりにも楽しくておとなしくしていられなくなったのかも)

お洒落あり熱さありノリノリあり。良い意味で型にはまらない自由な演奏、ライブはこうでなければならないなんてことはないんだなと思いました。思ったよりソロの時間が多かったのが意外でしたが、そんな個人の演奏があったからこそ際立つ4人のコラボ。誰一人として霞むことがない、それぞれが個性的ではあるけれど喧嘩はしていない、本当に凄いライブでした。きっとこの4人だからこそできたものなのだと思います。

舞台の上で観客を前に演奏するだけが音楽ではないと私は思います。しかし、この4人は人前で演奏して生きていくことを選んだ人たち(もちろん他の仕事もしていることは知っています)なんだなと思いました。これからも輝き続けてください。

~新しいイベントの形~

このライブは新しい形のライブとして実験的な意味を含んでいたと聞きました。確かにこれまでこういったライブはあまり例を見ない気がするし、昨今の世間の状況を考えても今後増えるであろうネット配信ライブのひとつのモデルとなったのではないかと思います。

こんなことを言っても仕方がないのですが、今後最低でも1年くらいはリアルライブやコンサートは厳しい状況が続くと思われます。音楽は生演奏が一番であることはきっと誰もがわかっています。しかしそれができない今、悲しい悔しいと言うだけでなくこうして行動に移してくれる人たちがいることに感謝しています。4人はもちろん、裏方さんも含めた皆様、素晴らしいライブをありがとうございました。大成功でしたね!

さて、以下は自分語りなのでどうでもいい人はスルーしてください。

自分が今思っていること(長いです)

ここ数ヶ月の間でしょうか、様々な人が行うネット上のピアノ配信を以前ほど楽しめなくなっていることに自分で気付き始めていました。そもそも、私がこの世界を知るきっかけとなったのはござさんでした。ござさんを知った時の衝撃は本当に凄くて、この世にこんな凄いピアニストがいるんだ…なんだこの人は…と本気で思いました。それほど今まで見たことのないピアノを弾く人でした。特に生配信が凄くて、コメント欄に流れてくるリクエスト曲を拾って次々と弾いていく姿、あまりにも幅広い音楽を知っている上アレンジも様々で聴く度に違う、2つのリクエスト曲をその場で混ぜたり調を変えたりリズムを変えたり、こんなことを即興できる人がいるのかと配信の度に驚かされ、気付けばすっかりはまり込んでいました。

そして昨年の3月、ござさんの1stライブ(という言い方でいいのでしょうか)に幸運にも行かせていただきました。約30人のハコ、こじんまりとした他人の家の一部屋のような会場でのライブでした。そこで初めて生演奏を聴いたのですが、これはきっと一生忘れないだろうなというくらい素晴らしい時間で、帰り道どうやって帰ったか覚えていないしその後一週間くらい食欲が壊滅したりと(今思うと謎ですが音楽で満たされすぎたのかなと思っています)自分の中でもすごい衝撃を受けたことを覚えています。当時ござさんのyoutube登録者数は2万人くらいだったように思います。この人はもっと伸びるべき人だと思いました。もっと世界に知られるべきだと。

そして現在、ござさんのyoutube登録者数は20万人を超えています。爆発的に伸びる要因となったのがストリートピアノ演奏動画であることは言うまでもありません。ストピ動画が人気になったことにより、ござさんも比例してどんどん人気になっていきました。きっとストピから知ったという人も多いのだと思います。

そしてここからが複雑なところなのですが、私は正直なところストピ動画が苦手です。誰の動画であってもです。ストピ動画は良い音で良い演奏を観客に聴かせるというよりもパフォーマンスが重視されているようなところがあると感じます。音楽の中身よりもいかに目立ちいかに多くの人間を引きこむ演奏ができるかが大事、そんな感じがするのです。音楽に興味がない人が音楽(というよりピアノ)に興味を持つきっかけとなる可能性があるストピの流行は決して悪いものではないと思います。しかし、元々音楽が好きな私にはそういった要素が合いませんでした。音と演奏にこだわった普通の演奏動画の方がはるかに好きなのです。

そして今回のねぴらぼ。リハーサル配信を見て本当に動揺しました。ライブ発表時は凄いピアニスト4人が集まるということでとてもワクワクしていたのですが、蓋を開けてみるとこのライブは「聴かせる」ではなく「魅せる」に特化しているように思えたからです。リハーサル配信で案内役の人が彼ら4人のことを「普段はストリートピアノで活躍している」と表現しました。私は頭を殴られたような感じがしました。違う彼ら(特にござさん)はストピがメインじゃない!ストピの前に音楽を聴かせることのできるピアニストなんだ!と思いました。勝手な被害妄想ですが、彼らのことを音楽よりパフォーマンスを重視している人だと言われているような気がしてショックだったのです。

これがきっかけとなりしばらく落ち込みました。リハを見た感じ自分が期待していたライブとは違うっぽい…音楽を聴かせてくれ…と思ったのと、なんとなく内輪ノリの雰囲気をリハから感じてしまい、これまた私が苦手な雰囲気だったのでとにかく不安になりました。(内輪ノリっぽい感じがした理由が今はわかります。長い付き合いの友人がスタッフにいるんだからそりゃそうなるよなと。批判したいわけではありません)

結果、ライブを鑑賞して私がどんな感想を抱いたかはこの記事の前半をお読み下さい。パフォーマンスの要素ももちろんありましたが、ちゃんと音楽を聴かせてくれる素晴らしいライブでした。

時代の流れと自分

ござさんの話に戻りますが、彼の配信も今や同時視聴者数2000人くらいいくのは当たり前になりました。あまり昔は~という古参アピール的な話をするのもどうかと思いますが、私が知った頃は300人いけば多いくらいだったと思います。配信の雰囲気もリスナーの雰囲気も変わったと感じます。

私がござさんを知った時、彼は会社員でした。仕事の隙間にこんなとんでもない配信を週1ペースでしてくれるなんて凄い…しかも無料…と毎回思っていたものですが、今彼は仕事を辞め、音楽で生きていくと決めた上で様々な活動をしています。これに関して私がとやかく言う筋合いは全くありません。しかしこの変化に付随していろんなことが変わっていったように思います。

配信でリクエストに応えて演奏してくれるスタイルはずっと変わらずいつも丁寧なござさんですが、リクエストの量が以前とは全然違う。しかも、投げ銭システムを使ってリクエストする人が圧倒的に多くなりました。お金を受け取っているのだからリクエストに応えるのは当たり前と言えるのかもしれません。多数のリクエストをさばくために配信時間はどんどん長時間化し、前みたいにござさんが適当に拾って好き勝手弾くような自由さは最近はあまりないな…と思います。そしてメンバーシップ。月額制ファンクラブのようなものですが、このシステム導入により過去の配信はお金を払わないと見ることができなくなりました。これに関しても批判したい気持ちがあるわけでは全くないです。音楽で食べていくプロとして、演奏を見たい聴きたい人がお金を払うのは至極当然だと思うし、今まで無料だったのが奇跡だとも思っています。しかし、ござさんの一番の凄さは生配信時の即興アレンジにあると思っているので、過去配信を見られるのはお金を払った人しかいない、というのはちょっと寂しいというのが私の本音です。

そして彼の配信を取り巻くリスナーにも変化が出てきました。配信でコメントする人が増えたというのはもちろんありますが、今や大人気のござさん、コメントでも彼をアイドル視しているようなものが目立って見えたりして私はずっと戸惑っています。彼の挙動を見るのが好き、キャーござさんこっち向いた♪みたいなノリ。演奏とは関係なさそうに思えるコメントの数々…。私はただひたすらにござさんの演奏が好きなので、こういった配信コメントのノリに付いていけなくなりました。最近は非表示にしているくらいです。アイドル視が悪いと思っているのではなくて私に合わないという話です。以前の方が彼のピアノを聴いている人が多かったなと感覚的に思って勝手に落ち込んでいるだけなのです。こればかりは世の流れもありどうしようもないことだと思います。ご本人は何も変わっていなくても、周りが変わっていくことで配信の雰囲気は変わるものです。さらにこれからも変わっていくのかもしれません。

これらのような小さなモヤモヤが重なり、気が付いたら配信をリアルタイムで追いたいという以前のような気持ちがほとんどなくなっていました。人によってはこれを「冷めた」のではないかと考えるかもしれませんが、それはないです。ござさんの演奏は今も昔も本当に素晴らしいと思っているし唯一無二です。日に日に変わっていく周囲に私が付いていけなくなった。きっとそれだけのことです。私は○○さんのファンという意味合いを持つファンネーム?を名乗ったり、みんな仲良く応援しよう!というようなノリが昔から苦手なタイプです。また、○○さんがやることは全て善!といったような全肯定ファンには私はなれません。そういった大多数の(ように見える)輪の中に私は入ることはできないタイプで入りたいともあまり思っていません。特に強要されているわけではないのでこれからもそのような輪の中からは少し離れた場所から、こそこそとマイペースに無理なく応援したいなと思っています。

リアルタイムで配信に参加してたまにコメントもして素敵な音楽を聴かせてもらう、そんな日々がこの上なく楽しい時期が確かにありました。しかし時は進んでいます。ずっと変わらないことなどないのだと思います。なかなか変化に付いていけない自分ではありますが、彼らネットで(も)活躍する素晴らしいピアニストたちのこれからを期待せずにはいられません。彼らの未来に幸が多くあることを心から願っています。 

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NEO PIANO CO.LABO.(ねぴらぼ) “Invention” 感想

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